東京メトロのロゴ(「Wikipedia」より)

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 2017年に株式新規公開(IPO)する銘柄は、最大90社といわれている。トランプ相場が失速すると、最終的に80社程度にとどまる可能性もある。16年は83社で、15年の92社より約1割減った。16年にはJR九州やLINEが話題になったが、今年の目玉案件はどの企業だろうか。

●時価総額1兆円の呼び声が高い東京メトロ

 東京地下鉄(通称:東京メトロ)は、計画通りなら年内に上場するとみられている。小池百合子東京都知事は、膨れあがる東京五輪関連費用と、築地市場の豊洲新市場への移転をどうするかという難問を抱えており、都が保有する東京メトロ株式を売って財源を確保したいからである。

 東京メトロは現在、国が53.42%、東京都が46.58%、株式を保有している。JR東日本や東京急行電鉄といった大手鉄道会社に比べて事業規模こそ劣るが、都心部の優良路線を抱え利益率は高い。16年3月期の売上高は4082億円で、純利益は576億円という優良企業だ。同じ決算期の東急電鉄の純利益552億円を上回り、西武ホールディングス(572億円)と肩を並べる。東京メトロが上場した場合、時価総額は「東急電鉄に匹敵する1兆円」と市場関係者は予測している。

 東京メトロの上場に対して政府は前向きの姿勢だったが、都はこれまで消極的だった。政府は東日本大震災の復興財源に充てるべく、東京メトロの完全民営化を考えている。しかし、都内には東京メトロと競合する都営地下鉄がある。こちらは都が単独で運営しており、都は東京メトロと都営地下鉄の経営の一体化を望んでいる。そのため、政府と都の調整は難航した。

 だが、都政の大改革を掲げる小池都知事の誕生によって、にわかに東京メトロ上場の期待が高まった。東京メトロが上場すれば、都は5000億円程度の資金を調達できる。東京メトロは17年IPOの超目玉となる可能性がある。

●フリマアプリのメルカリに注目

 米国では、上場前の評価額が10億ドル(約1000億円)を超えるベンチャー企業を「ユニコーン(一角獣)企業」と呼ぶ。日本版ユニコーン企業の代表格がスマートフォン(スマホ)向けフリーマーケット(フリマ)アプリを運営するメルカリだ。

 衣料品や雑貨などを個人が売買するフリマアプリは、若者や女性を中心に急拡大している。16年12月のダウンロード数は国内4000万、米国2000万の合計6000万を突破。1日の出品数も100万品を超え、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。月間の流通金額は100億円に達している。

 メルカリの設立は13年2月で、資本金は125億円。三井物産が出資したことで話題となった。山田進太觔社長は「IPOを視野に入れている」と繰り返し発言している。

 商品の購入を希望する人は、メルカリに代金を支払う。入金を確認すると売り手に連絡して、商品が配送される。買い手に商品が到着すると、代金が売り手に渡る仕組みだ。代金の10%をメルカリが手数料として受け取る。

 個人同士の取引は、商品の質や代金をめぐるトラブルが生じやすい。「(メルカリの)ビジネスモデルは、上場に耐えられるほど確立しているのか」と指摘するアナリストもいる。上場前から人気は高いが、果たして、すんなりと上場でき、株価が大化けすることになるのか、注目される。
 
●期待高まる「一風堂」

 博多とんこつラーメン店「一風堂」を運営する、力の源ホールディングスは、3月下旬にも東証マザーズに上場する見通しだ。

 1985年、創業者の河原成美会長が福岡市にラーメン店を開いたのが始まりで、現在国内に81店展開している。16年3月期の連結売上高は、前期比17%増の208億円。海外が成長を牽引している。08年、米ニューヨークに出店したのを皮切りに、中国やフランスにも出店し、海外では60店を展開中だ。日本食ブームに乗って、食のグローバル企業への飛躍を目指す。

 また、外食では串カツ田中が16年9月、東証マザーズに新規上場した。1カ月後の10月14日に9090円という、信じられないような高い株価をつけた。一風堂に2匹目のドジョウを期待する個人投資家は多い。

●多種多様なベンチャー企業

 新素材・人工クモ糸のバイオベンチャー、Spiber(スパイバー)のIPOへの期待は2年越しで高い。創業者の関山和秀氏が慶應義塾大学在学中に人工クモ糸の開発に着手。07年に同社を設立。鋼鉄の340倍の強度を持つ合成クモ糸繊維の実用化に取り組んだ。

 15年12月期の売上高は2億9100万円で、最終損益は12億900万円の赤字。15年にはスポーツウェアメーカーと資本・業務提携。資本金等(資本準備金含む)は146億円。助走期間を終え、離陸できる態勢を整えている。いつ市場に商品が出てくるかによって、IPOのスケジュールが決まりそうだ。

 インターネット関連は、IPOが目白押しだ。投稿者がハンドルネームではなく実名で飲食店の評判を書き込むソーシャルグルメサイトを運営するRetty、自動家計簿を手掛けるマネーフォワード、クラウド会計ソフトのfreee、クラウドソーシングのランサーズ、通販・テレビショッピングのジュピターショップチャンネル、靴とファッションの通販サイトのロコンドなどが有力候補だ。

 流通では、「第2のユニクロ」といわれた旧クロスカンパニーのストライプインターナショナルが上場する予定だ。

●再上場の3銘柄

 一方、再上場銘柄は大型案件が目立つ。

 大阪市のテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を運営するユー・エス・ジェイが最大の注目株だ。「ハリー・ポッター」をテーマにした新しいエリアが人気を集め、業績が急回復した。時価総額は数千億円に上るとみられている。

 インターネット調査会社最大手のマクロミルや、回転ずし最大手のあきんどスシローの持ち株会社であるスシローグローバルホールデイングスも再上場する。どちらも時価総額は1000億円を超えるとみられている。
(文=編集部)