スポーツ少年団などで子供たちの指導をする人は、ケガへの対処法を知っておく必要がある。

 このうち、脳振とうは頭を強く打ったときに生じると思いがちだが、正確には「頭部、顔面への直接、あるいは首へ伝達する他の身体の部位への衝撃で生じる『頭部外傷』」を指す。直接、頭を打つだけでなく、頭が激しく揺れるような衝撃でも生じるわけだ。

 受傷後に意識消失やふらつき、吐き気などの自覚症状が急激に生じ、通常は短時間で消えるが、数時間かけて症状が現れる場合もある。回復までに数週間〜数カ月かかるケースもまれではない。

 万が一、頭に強く衝撃を受けたら、即、競技を中止して身体と脳機能の両方の安静を心がけること。ゲームやネットも禁止である。「急性硬膜下血腫」が生じている可能性もあるので、丸1日は家族・友人が見守ることが望ましい。

 当然、脳振とう当日の運動はご法度だが、いつから運動を再開してもいいのか……。子供に関するコンセンサスは、症状が消失してから3週間は休むというものだ。

 先日、カナダから脳振とうを起こして救急搬送された患児(5〜18歳、平均年齢11.8歳)2413人の追跡調査が報告された。

 それによると、急性脳振とうを起こした後で「受傷後7日以内」に運動を再開したほうが、非運動群に比べ、受傷後28日時点での後遺症の発症率が有意に低いことが示された。

 早期運動群が行っていた運動は、軽い有酸素運動(筋トレは禁止)32.9%、ランニングなどスポーツ関連の運動8.9%、接触なしの練習5.9%、接触ありの練習4.45%などで、競技復帰も17.4%あった。

 成人に対する国際的コンセンサスは、脳振とう後は「段階的競技復帰プロトコル(GRTP)」に基づき24時間経過後、2日目以降、有酸素運動から徐々に運動強度を上げ、約1週間をかけて競技復帰することが認められている。

 今回、子供でもGRTPの妥当性が確認されたわけだが、まだ観察研究の段階。研究者は「もっと詳しい調査が必要だ」としている。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)