by Timothy Vollmer

無停止型のサーバーといえども、いつかは停止させる日がやってきます。ミシガン州にあるUSスチールのグレートレイクス製鉄所では1993年に電源の入れられたサーバーが無停止で稼働し続けてきたのですが、2017年4月に会社がシステムのアップグレードを行うのに伴って、引退することが決まりました。

Booted up in 1993, this server still runs -- but not for much longer | Computerworld

http://www.computerworld.com/article/3162416/data-center/booted-up-in-1993-this-server-still-runs-but-not-for-much-longer.html



1993年、ミシガン州ディアボーンにある製鉄工場「ダブル・イーグル・スチール・コーティング」(DESCC)にストラタステクノロジー製のXA/R10というインテルのi860ベースのフォールトトレラントサーバー(無停止型サーバー)が設置され、ITアプリケーションアーキテクトのフィル・ホーガンさんが電源を入れました。

DESCCは自動車産業向けに製品を供給していて、サーバーでは様々な統合業務が処理されました。2000年問題のころ、ホーガンさんはXA/R10のハードウェアを更新するべきかもしれないと悩みましたが、結局そこまで手が回らず、OSも「VOS」の古いバージョンのまま。更新も2000年初頭以降は行っていないそうですが、それでもサーバーは無停止のまま動き続けました。

2010年4月には、ストラタステクノロジーが「サーバーがどれだけ休止せずに動き続けているか」を競うアップタイム・コンテストを開催しました。

ライバルとして、パリとブリュッセルの間を結ぶ鉄道の信号制御に用いられているサーバーや、チリで民間機・軍用機の管制を担当しているサーバー、5000以上の店舗で1日に数十万件の取引を処理している宝くじのサーバー、さらにバンクオブアメリカ・メリルリンチの世界中の支店とアメリカとカナダの証券取引所を結んで1日10万件以上の注文を処理しているサーバーなど、名だたる強豪が参戦してきましたが、DESCCのXA/R10は見事に「17年間無停止」で優勝しました。

ちなみに、コンテストで2位だったのは医師と病院の電子データ交換(EDI)を年間1億7000万件処理しているという、ピッツバーグにあるハイマーク社が所有するStratus Continuum 1229。1995年から使われていて、計画のないダウンタイムは2001年2月以降ゼロですが、その無停止の期間が「4年超え」だったことを考えると、XA/R10の異常な安定度合いがわかります。

Stratus4Uptime Contest Winner's Server Is 17 Years Running... and Still Counting

http://www.marketwired.com/press-release/stratus4uptime-contest-winners-server-is-17-years-running-and-still-counting-1168970.htm



ストラタステクノロジーのデヴィッド・C・ローレロ社長兼CEOはコンテストにあたって「我々のサーバーのアップタイムは平均して7年以上です」と語っていますが、DESCCのXA/R10はすでに平均を10年は超えていたわけです。

それからもXA/R10は動き続けましたが、2015年、DESCCは製鉄大手・USスチールのグレイトレイクス製鉄所に組み込まれました。もともとDESCCはUSスチールとAKスチールの合弁会社だったのですが、USスチールが2520万ドル(当時約31億円)で持分50%を取得したためです。

そして2017年、会社は4月にシステムのアップグレードを行うことに決定し、いよいよXA/R10は御役御免となることが決まりました。最後まで面倒を見ることになったホーガン氏によれば、ディスクドライブや電源など、一部のコンポーネントは交換したものの、80%はオリジナルのままだったそうです。

なお、どんなサーバーなのか実物の写真はないのですが、ストラタスがサポート用に公開しているPDFによればこんなタイプだそうです。

XA/R-S Systems Service Announcement

(PDFファイル)http://www.stratus.ecacsupport.com/servicedocinternal/pdf/ha053.pdf