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テスラやSpaceXを率いるイーロン・マスク氏は、人工知能(AI)が人類に与える影響について警鐘を鳴らすなど、AIに対する関心が高いことで知られています。そのマスク氏がかつて提唱した人間の脳とAIを直接結びつける「neural lace」について、新たな発表を行うことを示唆しました。

Elon Musk teases neural lace announcement - Business Insider

http://www.businessinsider.com/elon-musk-teases-neural-lace-announcement-2017-1

Elon Musk thinks we will have to use AI this way to avoid a catastrophic future

http://www.cnbc.com/2017/01/31/elon-musk-thinks-we-will-have-to-use-ai-this-way-to-avoid-a-catastrophic-future.html

マスク氏とAIの関係で最も有名なのは、以下のツイート。「AIに対してはこれ以上ないほどの注意を払う必要がある。潜在的に核兵器よりも危険だ」と述べたこのツイートによって、マスク氏はAIを核兵器よりも危険な恐るべきものとしてとらえていると思われがちです。





しかし、「マスク氏はAI脅威論者である」と単純にとらえるのは誤りであることは、マスク氏のこれまでの発言や行動を見れば明らかです。マスク氏は、AIを普及させるための研究を行う非営利組織「OpenAI」を、Paypal創業者のピーター・ティール氏やYコンビネータのサム・アルトマンCEO(当時)らとともに設立し、共同代表に就いています。OpenAIが「AIによる暴走」を防ぐという役割を持つのは事実ですが、最大の目的は「世界中の人がAIの恩恵を受けられるようにAIを民主化する」ということ。単なるAI脅威論者がAIの民主化の旗振り役を買って出ることは不自然だといえます。

また、マスク氏はOpenAIを立ち上げた後にMediumから受けたインタビューにおいて、「AIを世界中に広めたい。AIがたくさんある方が世界にとって良いことだと思う。AIは人間の能力を広げる拡張機能のようなものだ」とAIの必要性を訴えています。この発言については以下の記事で確認できます。

ロボットの悪用を防ぐ人工知能の非営利研究組織「OpenAI」がIT業界の著名な起業家や投資家らによって設立される - GIGAZINE



さらにアルトマン氏との対談では、「AIが近い将来、人類に最も大きな影響を与える存在になる」とAIの重要性をこれ以上なく認めて、未来のためにAIを開発する必要性を説いています。この発言については以下の記事で確認できます。

イーロン・マスクが語るAIとヒトが高レベルで共存する「未来の作り方」 - GIGAZINE



つまり、マスク氏はAIには潜在的な危険性があると認めつつもAIが人類に果たす重要性・必要性を理解しており「AIを人類のために活用するべきだ」と考えているというのが正確なところです。

そのAI肯定論者のマスク氏は、2015年10月にニューヨークで行われたCodeカンファレンスにおいて、人間とAIをつなぐシステム「neural lace」という構想があることを、明らかにしていました。

マスク氏によるneural laceの説明は、以下のムービーの58分ころから確認できます。

Elon Musk live at Code Conference 2016 - Recode -

マスク氏は、脳のニューロンに直接働きかける広帯域のインターフェースを開発する構想があると述べ、これを「neural lace」と表現しました。脳とコンピューターを直接結びつけるという突飛なアイデアに、インタビュワーは「それはGoogle Glassのようなもの?」と尋ねますが、マスクCEOは上手く説明できずに苦慮しました。そして、「私は人工知能に飼い慣らされ"ネコ"にはなりたくない」というたとえ話をした後で、「neural laceがあれば、ネコにならなくて済む」とマスク氏は述べています。

常人には想像することが難しい、人間の脳とAIをつなぐインターフェース「neural lace」ですが、そのneural laceについて「neural laceはどうなったの?もうすぐ発表されるの?」というTwitterでの問いかけに対してマスク氏は「たぶん来月(2017年2月)」と答え、多くの人が忘れかけていたneural lace構想がまだ生きており、しかも近くに何らかの発表があることを示唆しました。





果たしてneural laceとはどのようなインターフェースで、AIと人間との関係をどう形作るものなのか現時点では不明です。しかし、テスラやSpaceXをはじめとする「不可能だ」と言われたプロジェクトを現実のものにしてきた希代の天才実業家のマスク氏だけに、その発表には注目が集まりそうです。