聯合ニュースより

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 韓国メディアによれば、1月22日『君の名は。』が累積観客数302万人を突破し、韓国では宮崎駿監督の『ハウルの動く城』(2004)が持っていた301万5165人を超え、歴代日本映画観客動員数の1位となった。

 日本アニメーションの素晴らしさである、ファンタジーと感性あふれるストーリーに加え、「ビジュアルマスター」、「光の魔術師」と言われる新海誠監督の作画に魅了され、韓国内における日本映画のオールドファンを熱狂させると同時に、新たなファン層を開拓しながら興行トップをひた走っていると報じられた。

 日本では春に公開されるディズニー映画『モアナと伝説の海』が韓国では既に公開されているなか、まして日本との外交摩擦が極度に緊張感を高め韓国の国民感情は「反日本」の作用を起こしている中で、この記録は数字以上のインパクトを残している。

◆なぜ今の韓国でも『君の名は』はヒットしたのか?

 日本映画が韓国で公式に解禁されたのが1998年。当時は北野武監督の『HANA-BI』、岩井俊二監督の『Love Letter』が公開され大ヒットとなった。『Love Letter』に至っては、韓国ドラマでリメイクされたり、再上映されたりと、いまだに日本映画の代表作となっている。劇中、主人公の中山美穂が叫ぶ「お元気ですか〜!」のセリフは、韓国では余りにも有名だ。

 奇しくも、『君の名は。』のエンドクレジットの中に、スペシャルサンクスとして岩井俊二監督の名前が出ている。『新海誠、その作品と人』(スペースシャワーネットワーク出版)の中に、新海誠監督と岩井俊二監督の対談が掲載されているが、新海監督によれば、『君の名は。』の中に、いくつも岩井監督作品のオマージュがちりばめられているとの事。

 ちょうど『君の名は。』の絵コンテを書いている最中に、岩井監督のアニメ版『花とアリス殺人事件』が公開され、その影響をかなり受けたと新海監督自身が明かしているし、劇中のいくつかのアングルも、岩井監督作品のアングルを、オマージュとしてそのまま使っているとコメントしている。

 岩井俊二作品や新海誠作品に流れる独特の叙情が、韓国人の琴線により触れるのかも知れない。確かに、北野武監督の『HANA-BI』も、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』の叙情溢れる作品である。

◆韓国オタク文化が『君の名は。』の大ヒットを支える!

 韓国での『君の名は。』のヒットの要因はもう一つ、韓国のオタク文化の熱狂があげられる。

 1月20日に発表されたCVGリサーチセンターの分析によれば、『君の名は。』の男性観客中、20代が42.7%となっており、「トック」と呼ばれる韓国のオタク層に絶大な支持を得ている。彼らの最大の特徴は、何度も映画館で作品を観ることであり、SNSでは「『君の名は。』を17回観た!」という強者まで現れている。

 しかし上映中に感情移入しすぎて泣き声を上げたり、劇中歌を客席で一緒に歌ったりと、一般の観客からクレームが出ている。しかしその事がニュースなどで話題となり、観客増にも繋がっている。

 韓国公開当時、舞台挨拶に立った新海誠監督は「観客動員数が300万を超えたら、また来ます」と観客たちと約束をしている。韓国の『君の名は。』のファンたちは、監督の訪韓を今か今かと待ち望んでいる。全世界を巻き込んでいる『君の名は。』旋風。こと韓国に関しては、冷え切った外交交渉の「雪解け」の一助となれば良いのだが。

<文・安達 夕>