モノとインターネットがつながり、データの種類・量ともに爆発的に増え続ける昨今。マーケティングにおけるデータの扱いに頭を悩ませるマーケターも多いのでは? クリエイティブの領域でも、データの扱いに変化が起きています。それは一体何か? クリエイティブカンパニーのバスキュールに詳しい話を聞きました。

■データテイメントって何?

 クリエイティブカンパニーのバスキュールが掲げる「データテイメント」というアプローチをご存知ですか? これまで取得できなかった領域も含めた、様々なリアルデータをクリエイティブの入力装置として活用することで、新しい価値体験を作り出すという方法論。既に三井不動産やネスレと共に、取り組みを行っているそうです。

 これまでもデータを利用したクリエイティブはたくさん生み出されてきましたが、それらとは何が違うのでしょうか? 今回、バスキュールのクリエイティブディレクターの原ノブオさん、馬場鑑平さん、およびコミュニケーションプランナーの佐々木大輔さんにお話を伺いました。
左から、株式会社バスキュール コミュニケーションプランナー 佐々木大輔さん
クリエイティブディレクター 馬場鑑平さん、同 原ノブオさん

MZ:今までもデータを使ったクリエイティブは存在しましたが、「データテイメント」は、それらとどう違うのでしょうか?

馬場:元々バスキュールは一貫して、データを使ったインタラクティブなクリエイティブを作ってきました。ただ、今までは「クリエイティブのためにデータを取る」ことが多かったんです。こういうインタラクションを実現したいから、こういう入力装置を用意してデータを取り、それを処理して体験としてユーザーに返しましょう。みたいな、クリエイティブファーストで考えるのが当たり前でした。

 僕らはそれを暗黙の制約として受け入れて、目の前のユーザーからどんなアクションを誘発し、そこから得られたデータを元にして、どんなすごい体験をアウトプットできるか、そういう思考の優先順位の中で一生懸命考えて、作ってきたんです。

原:でも今は、IoTなどを含めて、いろんなところからあらゆる種類のデータがインプットされ蓄積されるようになっている。データの種類も量も爆発的に増えたし、どんどん増え続けてる。それらのデータは一見クリエイティブと関係ない、それぞれのサービスのためのデータでしかないように見えるけど、いや、これが今の時代ならではのクリエイティブの源泉なんじゃないか、と考えるようになりました。データが持つストーリーを体験に落とし込むのが、今もっともクリエイティブなんじゃないか、と。

佐々木:今は、生活の中で何気なくやっている行動がデータを作り出し続ける時代です。これらのデータもインタラクティブなクリエイティブのトリガーとして使う。普段の行動をエンターテイメントに変換して体験してもらうことができたら、企業にもユーザーにとってもハッピーな循環ができるんじゃないだろうかと考えていて、そこにデータテイメントの必要性があると思っています。

馬場:ユーザーの明示的なアクションだけでなく、人以外のアクションや事象も含めて、いろんなインプットを組み合わせて、リアリティーのあるデータを一つのストーリーにまとめて提示するところに新しい価値がある。それをどうやったら受け止めてもらえるだろうかっていうインターフェースを作ってるというか。そういうことをやり始めています。

原:もう一つ、世の中全般が、モノ(物質)からコト(体験)へと価値軸がシフトしているという背景もあります。データ自体はモノですが、今この瞬間を切り取ったリアルタイムデータは一回性の出来事。データテイメントとライブコンテンツはとても相性がいいようです。

伊藤 桃子(編集部)[著]