イベントに登場した塚本晋也、窪塚洋介、イッセー尾形/[c]2016 FM Films, LLC.  All Rights Reserved.

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マーティン・スコセッシが遠藤周作の傑作文学を映画化した『沈黙-サイレンス-』。日本公開から10日で観客動員数30万人を超えた本作の大ヒット御礼舞台挨拶に出演者の窪塚洋介、イッセー尾形、塚本晋也が登場し、胸中や撮影秘話などを語った。

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公開後の反響について窪塚は「一言では言えないけれど、観る前とは違う自分になったという人が多い」と語り、本編をすでに3度観たという塚本は「観終わった後すぐに反応するのが難しい映画だろうなと思っていたが、とても強い反応がたくさんあった」と驚いたそうだ。

さらに塚本は、「先日紀伊国屋書店で『モキチ、モキチ』と、涙をうかべんばかりに中年の女性が話しかけてくれて」と思わぬ出来事があったことを明かした。

撮影現場について話が及ぶと、塚本は「撮影前のチェックで小松菜奈ちゃんに挨拶をしたら、口を手で隠してモゴモゴしていた。『どうしたの?』聞いたら付け歯(当時の貧しい農民を表現するための小道具)を見せてくれて、爆笑してしまいました。あの歯にはスコセッシ監督も爆笑した」と“付け歯”のエピソードを披露。

役作りのために頭を剃ったというイッセーは、「ある時、日本人のエキストラが足りなくなって台湾の人に出てもらった。彼の頭を剃ろうとしたら、『明日、面接があるからそれは困る』と。それでもどうにか剃ってもらっていざ撮影したら、彼は笠をかぶらされていた」と会場の笑いを誘った。

第89回アカデミー賞で撮影賞にノミネートされているロドリゴ・プリエトとの仕事については「ロドリゴさんの『セット』の一言で本番に行くぞ、という気持ちが入るんです」と振り返っている。

本作について「踏み絵というのは、形を変えて今の時代にもあるものだという気がします。かなり話題を変えるけど、オレオレ詐欺なんかも、ある意味では踏み絵のようなもの」と尾形。窪塚は、「世界が変わっていくなかで、この映画を観る意味はあると思う。観て、打ちのめされて、翌日までずっと映画のことを考えてしまう、そんな作品だ」と力を込めた。

最後に「映画の時代に生きていたら、踏み絵を踏むか?」という難しい質問に、塚本は「僕はキチジローに最も共感している。踏み絵を踏むでしょう。踏んでも『生きてこそ』だと思います。僕はそこにこそ、人の強さを感じています」と答えている。

「僕は『心のままに』と思っています。踏みたければ踏めばいい、踏んだとしても自分が信じているものは変わらない。キチジローは汚くて弱く醜い男でしたが、自分の心に素直な人間でした。『自分らしく、心のままに生きていけたら』という強さをキチジローに教えてもらった気がします」と窪塚が話し、イベントを締めくくった。【Movie Walker】