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大腸菌、サルモネラ菌、コレラ菌、緑膿菌……“菌”と聞いてイメージするのは、やはり病気。「重篤な病気になる恐れを秘めている、目に見えない怖い存在」少し大袈裟ではありますが、そのようなイメージを持つ方が一般的なのではないでしょうか。では、清潔第一、すべての菌を殺してしまえば人は健康でいられるのか? そんな疑問に、脇坂クリニック大阪院長・脇坂長興先生に答えていただきました。

体内には数え切れない菌が存在し、そのバランスを保ちながら健康をキープ

「他人の家に入ったとき、それぞれ匂いが異なることに気付きませんか? それは家に巣くう真菌の違いといえます。とても清潔にしている家、まめに除菌している家でも私たちのまわりには常に菌が存在し、その菌の種類は家によって異なり、それが匂いの違いに繋がります」。脇坂先生からはちょっと衝撃的なお話が。

「私たちの体内も同じことで、体内には数え切れないほどの菌が存在し、その種類・数は大きく個人差があります。これが一般的にいう“常在菌”。私達の体は、その菌がバランスをとりながら細菌叢(フローラ)を形成し、健康を保っているのです」。

島国か大陸か、湿気が多いか乾燥しているか、環境によっても存在する菌の種類は違い、それに対する耐性も異なるのだとか。

また、外部から悪い菌が体内に侵入して感染したからといって、すべての人が発症して病気になるわけではなく、受け皿となる体のコンディションが良ければ菌に抵抗して発症を抑えられますが、体力が落ちて抵抗力が弱っていると発症し、一気に症状も重くなる。その攻防が菌と私たちのからだの基本的な関係。

実は“良い菌”と“悪い菌”の区別も実際は曖昧で、ベストのバランスというのも人それぞれなのだそうです。

 

“菌”を殺す薬を続けるか止めるか、その見極めは医師に任せて

例えば、大量のフケが出る頭皮トラブル、脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)の原因となるのがマラセチア菌の増殖。もともとマラセチア菌も私たちの皮膚に存在する常在菌の一種なのですが、頭皮の皮脂が増えると、マラセチア菌が増殖し皮脂から過酸化脂質をつくり出して頭皮が荒れてしまいます。治療にはケトコナゾールや硝酸ミコナゾールといった抗真菌剤が用いられますが、症状が良くなってからも使い続けると、今度は本来、皮膚に存在して良い菌まで殺して菌のバランスを崩してしまい、新たな肌トラブルを生んでしまうことも。

また、病気になったときによく処方される抗生物質も、菌を殺す薬。抗生物質にはそれぞれ守備範囲があり、医師は症状に合わせて種類を選んで処方しているわけですが、この抗生物質の扱いにも注意が必要なのです。症状が軽くなったからと、勝手に止めてしまうと、まだ殺すべき菌があるのに放置したままになり、悪化を招くことも。

 

いずれも、薬を止めるか続けるかのタイミングが重要なわけですが、菌の存在は肉眼では見えないこともあり、その判断は難しいもの。まずは、勝手な自己判断で止めたり服用したりするのは、避けることが第一。「薬は病気を治すための道具。刃のある道具を間違った方法で使うとケガをするように、薬も必要な時に正しい方法で使うことが何より大切」なのです。

なぜ、その薬を服用するのか、その意味を知らないままだと勝手な自己判断に陥ることが多いよう。ちゃんと説明を聞き、服用する意味を理解するのが基本中の基本。菌とは共存共生、バランスを崩したら薬を正しく服用して調整、ということのなのですね。

 

(文・川原好恵)