“ベトナムの英雄”レ・コン・ビン。 今季からHCMCの会長に就任した

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 いま、アジアサッカーが熱い。東南アジアや中国、インドなどの新興国でサッカーが爆発的な人気を博してきており、その経済規模も日本サッカーを凌駕するものが出てきている。サッカーのレベルも徐々に日本や韓国などの強豪国に近づいてきており、色んな意味で無視できない存在となってきている。

 ASEAN諸国のなかでもベトナムは経済成長著しく、9000万人を超える人口を持ち、南北に1560キロに渡る広範な国土を持つ。

 サッカーにおいてもASEAN内ではフィリピンやタイと並び上位につけ、先日まで代表チームの監督を日本人が務めていたり、現在もベトナム人有名選手がJリーグクラブに移籍していたりと日本との交流も加速してきている。Jリーグはアジア戦略の一環としてVリーグ(ベトナムリーグ)と提携協定を結んでおり、ガンバ大阪や川崎フロンターレ、水戸ホーリーホック、横浜FCなど複数のJクラブがベトナムとの活動にも力を入れている。

 そんな中、Vリーグ2017シーズンが1月7日に開幕した…と言ってもバレーボールのVリーグではない。ここで扱うのはベトナムプロサッカーリーグ(略称Vリーグ)。正式名称はトヨタ・Vリーグ1。3年前からトヨタ自動車の現地法人であるトヨタモーターベトナム(TMV)が冠スポンサーを務めており、東南アジアでは、タイやマレーシアに次ぐレベルと規模を誇る強豪リーグとして知られる。

◆知られざるVリーグの魅力とは

 Vリーグ1は現在、14チームで争われているが、昨シーズン最終節の時点で4チームに優勝の可能性が残ったことからも分かるよう、全体的にクラブ間の力が拮抗しており、最後まで優勝の行方が読めないスリリングなリーグとなっている。

 今回はそんな知られざるVリーグの魅力について紹介しよう。

 近隣のライバルであるタイリーグと比べると、過去から現在に至るまで日本人選手が非常に少なかったせいか、日本におけるVリーグの知名度は著しく低い。

 日本人選手が契約しにくい理由はいくつかあるのだが、主な理由としては、外国人枠が2015年から2人に縮小されて競争が非常に激しくなっていること。

 そして、高身長のアフリカ系や欧米系の選手が好まれるため、アジアからの助っ人の需要が極めて少ないことなどが挙げられる。また、必要とされるポジションも限定的で、求められるのは身長185cm以上のセンターフォワードあるいはセンターバックのいずれかである。

◆元横浜FCの井手口ら日本人選手も

 とはいえ、日本のサッカーファンには、やはりJリーグに所縁のある選手が所属するクラブのほうが興味を持ってもらいやすいだろう。

 日本人選手が所属するクラブは現在、ホアン・アイン・ザライ(HAGL)だけ。同クラブでは、昨季から元横浜FCの井手口正昭(日本代表MF井手口陽介の実兄)、今季から元SC相模原のDFフェアー・モービー(元U-17アメリカ代表)がプレーしている。さらに、昨年までJ2リーグに期限付き移籍していたベトナム代表のFWグエン・コン・フオン(元水戸)とMFグエン・トゥアン・アイン(元横浜FC)も所属するなどJリーグ経験者が多数在籍している。

 繋ぐサッカーを標榜するHAGLはスタメンの殆どを下部組織出身の20代前半の若手が占めている。

 現在は経験不足からVリーグではなかなか結果を残せずにいるが、アンダー世代のベトナム代表で中核を担ってきたグエン・コン・フオンらが国民的アイドルと化しているため、毎年残留争いをしているにもかかわらずクラブ人気は異常ともいえる程高い。彼らがプロデビューした2年前のシーズンは、HAGLがリーグ全体の観客動員数を大幅に引き上げたとさえ言われている。

 今シーズンは、1年ぶりにグエン・コン・フオンとグエン・トゥアン・アインが復帰。日本での武者修行を終えた彼らがどんな活躍を披露するのか注目したい。