ビックリするほどの速さはないんだけど、とにかく楽しい!

新しい『ルーテシア』をドライブして感じたのはそんな印象でした。この『ルーテシア』は欧州では『クリオ』の車名で販売されているルノーのコンパクトカー。日本でいえば『ヴィッツ』とか『フィット』とかと同じセグメントに属する、いわゆる大衆車です。現行モデルは5代目。このたびマイナーチェンジを果たし、2017年2月9日に発売されます。



ルノー

ルーテシア

価格:229万円〜



▲今回のマイナーチェンジで、やや幅広感を強調するような迫力あるフロントグリルに変更されました。



▲ライトも「C」の字を描くLEDのものに変更されました。

大衆車のはずなんですけど



『ルーテシア』は大衆向けコンパクトカーとはいっても、過去には「ウイリアムズ」の名を冠したスポーツバージョンや、V6エンジンをミッドシップに搭載した「ルノー・スポール V6」なんていう過激なバージョンも存在しました。今もルノー・スポールを意味する「R.S.」というスポーツグレードが用意されていて、スポーティなイメージのある車種です。今回乗ったのは「インテンス」という、上級クラスに属しつつも特にスポーティではないグレード。それでありながら十分に楽しめる走行性能を持っており、試乗後には「恐るべし欧州コンパクト……」と思わされました。

一見すると普通のコンパクトカーなのですが



搭載されるエンジンは1.2Lのターボ。いわゆるダウンサイジングターボと呼ばれ、排気量を小さくして低燃費を狙いながらターボによって馬力を補う、最近では国産車でも増えてきたタイプのエンジンです。組み合わされるのはデュアルクラッチで素早い変速を可能にした6速AT(ルノーでは「EDC」と呼ばれる)です。



▲最高出力は118PS。アイドリングストップ機構も搭載され、燃費は17.4km/Lです。

街中でゆっくり走っている分には、いたって普通のコンパクトカー。特筆するほどのパワフルさを感じることはありません。さすがにボディや足回りは「しっかりしているな」と思ったものの、気になるほどゴツゴツするような固さはなし。AT車ですし、奥様が買い物に使っても違和感なく乗りこなせるでしょう。



▲マニュアル車っぽいシフトレバーですがAT車です。左に倒すとマニュアルモードになり、任意のタイミングで変速が可能。

エンジンを上まで回すと印象が激変



試しにシフトレバーをマニュアルモードにしてエンジンを回転数を上げてみると、これが実に気持ち良く回る! レッドゾーン近くまで何のストレスもなくふけ上がる感覚が楽しいです。燃費重視のダウンサイジングターボでは、低回転時に最大トルクが設定されているので回しても面白くないエンジンが多いのですが、これはむしろ高回転が気持ちいい。排気音もなかなか良い音です。



そしてスピードが出てくると、足回りの印象も激変。ちょっと速度が乗った状態からブレーキを強めにかけると、サスペンションがギュッと縮みます。そのままコーナーに入ると、遠心力とサスペンションの反発力で路面にタイヤが押し付けられるようにグリップ感が増す。そして外側のタイヤが踏ん張ってくれて、まるでスキー板のエッジで切っていくようなコーナーリング感覚です。コンパクトカーですし、決して速くはないのですが、この感覚はまさに“スポーツ”をしているようでハマります。

大衆コンパクトらしく使い勝手にも配慮



ここまでは走りの部分ばかりに触れてしまったので、なんだかスポーツカーのインプレッションみたいになってしまいましたが、『ルーテシア』は多くの人が使うために開発されたクルマなので、居住性やユーテリティも優れています。このクラスの車種としては天井は低めですが、着座位置が低いので、腰掛けても圧迫感を感じるようなことはありません。



▲ドライバーズシートはファブリックと合皮素材ですが、ホールド感はなかなか良い感じです。



▲リアシートは大人3人でも十分に座れる感じ。ただ、シートはリクライニングしません。



▲リアシートの足元は決して広くはありませんが、前席のシート下に足先が入るスペースがあるおかげで、足が大きめの筆者でも余裕がありました。



▲荷室は深さに余裕があるので、結構な量の荷物が入りそう。



▲しかもリアシートが前に倒せるので、荷物が多い場面にも対応できます。

ユーテリティスペースに十分な広さがあって普段使いもしやすく、その気になれば元気に走れてしまう。スペック的に突出した数値はないものの、この懐の広さが欧州製のコンパクトカーらしいところですね。なにより、スポーツグレードでなくてもこれだけ走りの楽しさを味わえるというのが驚きでした。フランス人って走るのが好きなんですね。もう1つ上の「GT」グレードにはパドルシフトが搭載されているので、そちらも試してみたいところです。

文・撮影/増谷茂樹