By Dave Young

睡眠不足が続くと脳の可塑性が変化して記憶に影響が出たり、記憶喪失の原因になったりと、健康への悪影響を受けることが知られていますが、新たな研究により、睡眠不足が続くと免疫系の機能まで低下してしまうことが実証されました。

Transcriptional Signatures of Sleep Duration Discordance in Monozygotic Twins | Sleep | Oxford Academic

https://academic.oup.com//sleep/article/doi/10.1093/sleep/zsw019/2952682/Transcriptional-Signatures-of-Sleep-Duration



Chronic sleep deprivation suppresses immune system | Science Bulletin

http://sciencebulletin.org/archives/9813.html

日本は世界で最も寝不足な国というデータがあるように、十分な睡眠時間をとらずに毎日を過ごしている人も多いはず。寝不足が続くと体がだるく感じたり調子が悪くなったりすることがありますが、ハーバービューメディカルセンターのUW Medicine Sleep Centerで行われた研究結果は、寝不足における体の不調が起こるメカニズムを科学的に説明しています。

人間の睡眠時間の長さは31%〜55%も遺伝子の影響を受けることがわかっており、残りの要因は行動および環境で決定されています。そのため研究チームは11組の一卵性双生児から血液サンプルを採取し、睡眠サイクルの異なる双子の血液にどのような違いが出るのかを調べました。研究者によると、遺伝率が同程度となる一卵性双生児の血液を見ることで、遺伝要因以外の睡眠不足の影響を調査することができるとのこと。

研究所環境で行われた既存のデータでは、睡眠時間を少なくすると免疫細胞が活性化して炎症マーカーが向上するという結果も出ているのですが、研究チームは自然環境下における長期間の睡眠不足の影響に注目しました。調査の結果、実際に短い睡眠時間で毎日を過ごしている双子の片方は、白血球の免疫反応に関わる活動がいくつか停止していることが確認されました。慢性的な睡眠不足による免疫機能の低下を示した研究はこれが初めてだということです。

研究著者の1人でUW Medicine Sleep Centerの責任者でもあるシーナ・ガリブ博士は、「今回の研究結果は、睡眠不足の人にワクチンを投与すると抗体反応が低くなるという研究や、睡眠不足の人を風邪の元凶となる『ライノウイルス』にさらせば感染する可能性がより高くなる、といういくつかの研究結果と一致します」とコメント。

なお、アメリカ疾病予防管理センターの調べによると、ここ100年間でアメリカ人の平均睡眠時間は1.5時間〜2時間ほど減少しており、労働人口のおよそ3分の1の睡眠時間は、毎日6時間未満になっていることがわかっています。UW Medicine Sleep Centerの共同責任者であるナタニエル・ワトソン博士は「我々は十分な睡眠をとれば免疫機能が最高の状態で機能することを示しています。最適な健康状態を維持するには、毎日7時間以上の睡眠をとることが推奨されます」と話しています。



By Patrick Brosset