満島ひかりとモデルに
なった作家の島尾ミホ氏 (C)2017 島尾ミホ/
島尾敏雄/株式会社ユマニテ

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 女優の満島ひかりが、「海辺の生と死」で4年ぶりに映画単独主演していることがわかった。満を持して今作に取り組んだ満島は、「一生抱えていかなきゃいけない作品になった」と達成感をにじませている。

 第2次世界大戦末期に海軍大尉として鹿児島・奄美群島加計呂麻島(かけろまじま)に赴任し、戦後は作家として活躍した島尾敏雄氏の「島の果て」や、妻で作家の島尾ミホ氏の第15回田村俊子賞受賞作「海辺の生と死」など、島尾夫妻をモデルとした人物が登場する書籍を原作に映画化。ミホをモデルにした女性トエ(満島)と、敏雄をモデルにした朔の出会いと情熱的な恋、そして終戦時の日本を描く。

 加計呂麻島の小さな集落が戦争の影に覆われるなか、海軍特攻艇の部隊を率いる朔が隊長として新たに駐屯してくる。国民学校教師のトエは、島の子どもたちに慕われ、酒を飲むより島唄を習いたがる朔にひかれていく。やがて2人は思いを伝え合うが、トエは出撃命令を待つ身である朔への狂おしいほどの愛に戸惑いを覚える。

 満島は、大きな愛と複雑な気持ちを抱えるトエを「この脚本とともに、私自身の本性を自らあばいてやろうと思いました」と全身全霊で演じた。祖母が奄美大島出身ということもあり、「私のルーツは奄美大島にあります」といい、島唄(奄美民謡)の歌唱にも挑戦。「撮影中、楽しめたことも、できなくて悔しかったこともいっぱいあったけど、奄美のすごさを感じる日々でした」と振り返っている。

 メガホンをとった越川道夫監督は、「満島さんは、島尾ミホさんをモデルにしたトエを演じ、彼女の戦時中の恋とその時代を、激しく狂おしいまでに駆け抜けていきました。ぼくたちは、島の人々を、島にしげる木々を、島の歌を、海を、満島さんが歌えばその歌声と呼び交すように鳴き始める鳥たちを愛し、彼らとともにこの映画を作りました」とコメントを寄せている。

 「海辺の生と死」は、7月から東京・テアトル新宿ほか全国で順次公開。