プログラムで特定の処理を繰り返すことを「ループ」、修正プログラムを「パッチ」と呼びますが、こういった言葉は1944年に開発された「Harvard Mark I」から生み出されました。

The Mark I Computer at Harvard - New Language

http://sites.harvard.edu/~chsi/markone/language.html

デジタル計算機が生み出されたのは、ちょうど第二次世界大戦と重なるぐらいの時期のこと。ウィスコンシン大学マディソン校を卒業して物理学の博士号を取得したハワード・エイケン氏がハーバード大学に在籍していた1939年、彼だけが解ける微分方程式に遭遇した時に、面倒な計算を代わりにやってくれるものとして「電気機械式の計算装置」を構想。

IBMの協力で作られた装置は当初「ASCC(自動シーケンス制御電卓)」の名で呼ばれましたが、のちに現在知られている「Harvard Mark I(ハーバードマークI)」と呼ばれるようになりました。

◆ループ

当時の計算装置で用いられていた記録媒体は紙テープ(穿孔テープ)で、Mark Iでも命令をテープから読み取って実行していました。命令を繰り返す場合は同じテープの内容を何度も読み込ませる必要があったのですが、そのままだと読み取り終えたテープを自分で再び読み込ませるという作業が必要になります。

そこで行われたのが、テープの始点と終点をくっつけて輪(ループ)を作り、読み込ませ続けるという方法。ここから、繰り返すことは「ループ」と表現されるようになりました。

ハーバード大学科学歴史博物館には、Mark Iに輪のようにつなげたテープをセットしている写真が残されています。



◆パッチ

ソフトウェアの修正プログラムは「パッチ」と呼ばれます。パッチとは「継ぎ当ての布」のことですが、これは前述のように記録媒体が紙テープだった時代、修正を要する部分に本当に「パッチ」を当てていたことに由来します。

ソフトウェアの修正プログラムのことをなぜ「パッチ(当て布)」と呼ぶのか? - GIGAZINE



◆ライブラリ

IT用語辞典e-wordsでは「ある特定の機能を持ったコンピュータプログラムを他のプログラムから呼び出して利用できるように部品化し、そのようなプログラム部品を複数集めて一つのファイルに収納したもの」と定義されている「ライブラリ」。

これも、テープに記録されたプログラムのうち、必要な部分だけをカットしてまとめておき、あとでいつでも再利用できるようにしておいたところに由来しています。見た目は「図書館」とはまったく異なりますが、その機能は確かに図書館っぽいかも。



日本のアニメで、何度も同じものが登場することになる必殺技や変身シーン、あるいはおなじみの風景・光景などは何度も同じ素材を繰り返して使用する「バンク」(バンクシーン)と呼ばれます。こちらは、シーンを保存(保管)しておいて必要なところで取り出すことから、銀行になぞらえてつけられた名前ですが、その由来を考えると「ライブラリ」でも良かったのかも。

◆バグ

コンピュータープログラムの中に潜む不具合を「バグ」と呼びますが、世界初のコンピューターのバグは本当に蛾が挟まって起きた、というのはよく知られている話。なお、この「蛾が挟まったコンピューター」というのは、Mark Iではなく1947年に登場したMark IIでした。

世界初のコンピューターのバグは本当に「蛾」が挟まったのが原因 - GIGAZINE



実は蛾が挟まる以前からも、電気装置の操作を妨げる見つけづらい物理的欠陥を電気技師が「バグ」と呼んでいたそうです。Mark Iのコーディング中にも技師はバグに遭遇していて、「蛾」を見つけたことで知られるグレース・ホッパーさんによる「バグの絵」がスミソニアンアーカイブセンターに残されています。