大麻取締法違反の高樹沙耶被告がツイッターを更新

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 元女優の高樹沙耶(本名・益戸育江)被告が、1月28日深夜、自身のツイッターを更新し、大麻取締法違反(所持)で逮捕・起訴された件について謝罪を表明した。

 彼女は以前から、医療大麻の解禁を訴えている。思うところはあるのだろうが、「裁判が終わるまでは言動を控えさせていただきます」とのことで、今回のツイッター更新の真意は明らかではない。

 日本で大麻(マリファナ)は、嗜好用はもちろん、医療用であっても、輸入も所持も使用も禁止されている。世間的にも、麻薬や覚醒剤と同じで「ダメ絶対!」の扱いを受けている。

 しかし世界に目を向けると、大麻(マリファナ)に関しては、麻薬や覚醒剤とは一線を画す新たな潮流が生まれている。

大麻「解禁」が今の世界の潮流?

 今春、カナダでは、なんと「娯楽用の大麻」が全面解禁される。つまり、嗜好品としてマリファナを合法で吸えるのだ。また、アメリカでも大麻の合法化は加速化しており、すでにコロラド州など8州と首都ワシントンD.C.で、嗜好用大麻が解禁されている。

 こうした地域は、大麻好きには魅力的だ。ツーリスト相手の大麻観光が繁盛するし、さまざまな大麻グッズも売れる。アメリカなどはまさに今、<大麻ビジネス>に沸いているところだ。

 この波に便乗して、「大麻を吸えるレコード」まで登場した。「Slightly Stoopid(ちょっとおバカ)」というカリフォルニア出身のロックバンドが、『Dabbington』という大麻をテーマとした曲のリリースに合わせて、製作したものだ。

 大麻の喫煙を目的とした特殊なレコードなので、市場に出回るかはナゾだが、話題性は十分だ。

 これまでも、オランダをはじめ大麻合法国は少なからずあった。しかし、カナダやアメリカといった大国のムーブメントは、影響力が大きい。ここに至るまでの各国の事情はそれぞれあるものの、共通しているのは、医療大麻がすでに認められてきていたことだ。

 「医療効果はあるらしい」という世論があり、流通や商品としての取り扱いの下地があった上で、嗜好用大麻にも一定の理解が得られてきた模様だ。

 ただし、アメリカのドナルド・トランプ新大統領は、強硬な大麻反対論者であるアラバマ州のジェフ・セッションズ上院議員を司法長官に指名した。オバマ大統領も、大麻をアルコールと同様に扱うべきだと発言。

 対するセッションズは、今年4月に行われた上院のドラッグに関する公聴会で「(オバマの)最大の失敗の一つが手ぬるい大麻政策であることは明らかだ」と批判した。

 セッションズ上院議員が大麻関連の法規制を強化すれば、アメリカの大麻ビジネスはどうなるのか? 娯楽用大麻だけでなく医療用大麻にも規制が及ぶ可能性は否定できない。

 そのためトランプ大統領就任式では、大麻の合法化を擁護する団体が、2万ドル(約230万円)相当の大麻(2キロ弱)を使ったジョイント(大麻たばこ)を配布するデモンストレーションを行っている。

医療大麻は今や世界の常識

 医療大麻と一口にいっても、厳密には多くの種類がある。大麻に含まれる「植物性カンナビノイド」と呼ばれる成分が、治療効果を発揮するのだが、カンナビノイドは全100種類以上の成分の総称で、これらを症状別に処方するためだ。

 医薬品としては、イギリスの製薬会社の「サティベックス(Sativex)」が代表的だ。大麻抽出成分をそのまま含有することに成功し、副作用が少ないとして、現在、世界シェアを席巻している。

 先進10カ国(G10)の中で、サティベックスの販売(輸入)が許可されていないのは日本だけ。その他の9カ国は、2005〜2013年の間に、次々と販売認可されている。つまり、G10の中で医療大麻が認可されていないのは日本だけなのだ。

 このほか、ハーブ療法として医療現場で使われる場合もあり、研究段階も含めると、G10の10カ国の内、8カ国がハーブ療法に前向きに取り組んでいる。臨床現場では、医者が出す処方箋をもとに、薬局でハーブを購入する方法が多いようだ。

 先進国が次々と認める医療大麻は、痛みや痙攣、炎症を抑える効果が強く、240種類もの疾患に効果があるといわれている。広く知られているのは、がん性疼痛、糖尿病、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、自己免疫疾患、アルツハイマー、心臓疾患、腎臓疾患などだ。

 カンナビノイドの研究を目的とした日本臨床カンナビノイド学会の新垣実理事長(新垣形成外科病院理事長)は、「日本にはカンナビノイドが有効な患者がたくさんいます。患者には救われる権利があり、法律がその権利を妨げることはできません」と語る(SYNODOS:2016.01.26 )。
日本の医療大麻の解禁はいつ?

 日本では、医療用であっても、輸入も研究も許可されない大麻。しかし過去には、がん性疼痛などの緩和のための研究として、カンナビノイドの研究がされている。

 2011年に厚生労働科学研究費補助金の下で、国立がん研究センターが中心となって、カンナビノイドの一種であるドロナビノールの研究がなされたのだ。

 この研究は「ドロナビノール等の新規治療薬についても、疼痛下での安全性が基礎的に明らかになり、今後の第義蟷邯海謀たって極めて重要な成果であると考えられる」と結論付けられている。

 NPO法人医療大麻を考える会によれば、研究成果そのものは、海外では常識的な範囲であり、目新しいものではなかったが、国立機関が国内でタブー視されている大麻を扱ったことの意義は大きいという。

 近年では、末期がんの身体でありながら、命懸けで医療大麻の必要性を求めた「山本医療大麻裁判」の故・山本正光さん(2016年7月15日死去)の訴えが印象的だ。

 肝臓がんで余命宣告を受け、医者に見放された病身で大麻を栽培・服用したところ、痛みが和らぎ、食欲が戻り、抑うつ気分も上昇し、さらに腫瘍マーカーの数値が軽減したという。

 山本正光さんは、余命宣告期間を過ぎた頃、大麻取締法違反で逮捕・起訴された。「厚労相も法務省も医療大麻の認可に取り合ってくれない中、生存権の行使として使用した」と亡くなるまでの半年間、裁判で争った。

 最近は、大麻はニコチンやアルコールよりも身体依存が低いという認識が一般的になりつつあるが、精神依存については異論もある。また、有益性だけでなく有害性、とくに低年齢層の健康に関するリスクについての指摘は見逃せない。

 さまざまな意味で大麻を受け入れる素地のない日本では、アメリカやカナダのような<合法化で全面解禁!>は夢の話だが、せめて医療分野の特定的な使用が認められれば、カンナビノイドの恩恵に与れる患者が救われるだろう。

 ただし、カンナビノイドの一種、カンナビジオール(CBDオイル)は、国内でも合法で入手できるので、医療効果を期待されつつある。医療大麻解禁の風穴を開ける一助になるかどうか、注目したいところだ。
(文=編集部)