世の男性の多くは結婚指輪を身につけているが、英国王室に限っては、指輪をつけないほうが多数派のようだ。これは貴族の伝統的なエチケットにのっとったものらしい。

女性にとっては古代エジプトにさかのぼる長い歴史がある一方で、男性が一般的に結婚指輪をつけるようになったのは、第二次大戦中とごく最近のこと。異国の地で戦う際に家族の存在を忘れないように、と身につけたのが習慣として広まったものだ。

英国王室の男性陣を見てみると、チャールズ皇太子は、紋章を彫ったシグネットリングとともに結婚指輪をつけていた。しかし、エリザベス女王の夫であるフィリップ殿下、そしてウィリアム王子は結婚指輪をつけていない。これは上流階級ではごく一般的なことなのだという。

「英国の上流階級の男性にとって、結婚指輪をつけないことはまったく珍しいことではありません」と語るのは、エチケット・エキスパートのウィリアム・ハンソン氏。「これは家庭に縛られたくないといった意思表示でも何でもなく、紳士はジュエリーを身につけないものという伝統があるからです。少し前までは、腕時計も含まれていました」

「結婚指輪をつけないのは、英国において暗黙のうちに階級を示す風変わりな所作のひとつです。木曜日に履く靴の色だとか、ポケットチーフのたたみ方、などと同様に」

ただし、ジュエリーのなかでもシグネットリングだけは例外だという。「シグネットリングは家柄を表すもの。ロマンスよりも重視されるのは当然のことです」とハンソン氏。「シグネットリングは紋章のみが彫られているべきです。イニシャルなどが彫られている場合は、少々疑わしいと見られる対象になります」

※この翻訳は、抄訳です。

From Harper's BAZAAR UK