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4億5000万年前に生きていた、人間の先祖にあたる可能性がある存在をセント・ジョンズ・カレッジの研究チームが報告しました。楕円形の体に巨大な口を持つクリーチャーは「sack(袋)」という言葉から意味を取って「Saccorhytus(サッコリタス)」と名付けられています。

Bag-like sea creature was humans’ oldest known ancestor | St John's College, Cambridge

https://www.joh.cam.ac.uk/bag-sea-creature-was-humans%E2%80%99-oldest-known-ancestor

Meiofaunal deuterostomes from the basal Cambrian of Shaanxi (China) : Nature : Nature Research

http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature21072.html

A huge mouth and no anus - this could be our earliest known ancestor | Science | The Guardian

https://www.theguardian.com/science/2017/jan/30/huge-mouth-and-no-anus-earliest-known-ancestor-saccorhytus-coronarious-evolution

これがSaccorhytus。目がなく、巨大な口には突起物が同心円状に並んでおり、生き物や粒子などを吸い込んで食べていたと推測されています。



Natureに発表された論文によると、研究者は、Saccorhytusは進化の過程で枝分かれした脊椎動物・棘皮・動物といった多くの生き物の祖先に当たる可能性があると考えているとのこと。中国で見つかったSaccorhytusの化石のサイズは1ミリメートル以下ですが、保存状態が非常に良く、詳細まで観察が可能だったそうです。そして顕微鏡で観察したところ肛門がなかったことから、研究者らはSaccorhytusが口から食べて口から排泄したという後口動物に属するという結論に至っています。なお、Saccorhytusは海底の砂粒の間に生息していたと見られています。



「肉眼では、我々が研究した化石は小さな黒い穀物のように見えましたが、顕微鏡で見るとその緻密さは驚くほどでした」「我々は、このような後口動物が、大きく多様化した生き物の根源の始まりだと考えています」と研究を行ったSimon Conway Morris氏は述べています。

これまでに発見されている初期の後口動物の化石はいずれも数センチという大きさで、これほどまでに小さな化石が見つかったのは初めてのこと。このことから、最古の動物は目に見えないほど小さかったという可能性も出てきたとのこと。

生物間の分子的な違いを比較し、進化過程で分岐した年代を推定する分子時計という仮説では、生物が枝分かれして進化が進むほど生体分子の差が大きくなると考えられていますが、これまで分子時計に一致する初期の生き物の化石は見つかっていませんでした。研究者の中には「これは化石が小さすぎて見つからないためだ」と考えている人もいたため、Saccorhytusは分子時計の持つ問題を解く手がかりにもなる可能性があります。

オックスフォード大学自然史博物館の研究員であるイムラン・ラフマン氏はSaccorhytusについて、「本当に興味深く、驚くべき化石です。この化石は後口動物の初期の進化に関する我々の理解を深める可能性を大いに抱いています」「この化石は我々が進化の歴史を理解するために非常に重要なものとなるでしょう」と語りました。