連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第18週「守るべきもの」第98回 1月30日(月)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:新田真三


98話はこんな話


昭和35年、夏。長年、信頼を置いていたメリヤス工場が突然廃業するという連絡に、すみれ(芳根京子)は驚く。

さりげなくフォローする紀夫と明美


さくら(井頭愛海)との関係がなかなか修復できないすみれに(むしろ悪くなる一方?)、「ふたりでしっかり受け止めてさくらを待とう」と冷静で頼もしい紀夫(永山絢斗)。
紀夫は何かにつけ物事を穏便にする役割を果たしている。健太郎(古川雄輝)と共にキアリスのバイトをすることになった龍一(森永悠希)が「さくらもバイトする予定だった」と余計なことを言いだすと、さりげなく話題を変える。本来は、言うべきか言わざるべきか判断回路を一度通すものだが、龍一はそれができず、思ったことをすぐ口にしてしまう。
さりげないフォローが「べっぴんさん」にはよく出てくる。
97話でコウノトリの袋にお人形を入れるファインプレーを見せた明美(谷村美月)は、「武ちゃん」(中島広稀)と呼びかけて「足立部長」と言い直す。それは、若い健太郎や龍一には武がちゃんと部長であることを示しておこうという心遣いであろう。西城(永瀬匡)のときに先輩の武ちゃんが若干ないがしろにされてしまった感じがあるから。明美は龍一の言動も「個性」と表す。
あと、もうひとり、ゆり(蓮佛美沙子)がすみれをサポートしている。預かっているさくらに「意地を張る気持ちがわかる」と共感を見せ、あとに引けなくなっているとしたら「自分が変わろうとしているならいつでも撤回していいの」と強張った気持ちをほぐそうとつとめる。「ひとは変わるもの」は朝ドラでよく語られるテーマ。
久々に近江からお父さん五十八(生瀬勝久)も、メリヤス工場廃業で途方に暮れるすみれを手助けにやって来た。
「べっぴんさん」では、みんながさりげな〜く誰かを助けている。

栄輔、健太郎の切ない男心


大急に正式出品することが決まった栄輔(松下優也)だったが、すみれにも潔(高良健吾)にもなんだか心を開いていないふうに見える。あんなに明るく、純粋に、すみれや潔と向き合っていた栄輔なのに。

健太郎は健太郎で、何もできないけれど、さくらを心配し続けている。ヨーソローで、五月(久保田紗友)が家を出てしまったことにショックを受けドラムを激しく叩く二朗(林遣都)をみつめるさくらを、じっと見つめていた。このままでは健太郎は、栄輔に次ぐ報われないキャラになってしまうぞ。

健太郎も栄輔もそっと誰かを見ている。そっと誰かを見ているから、明美や紀夫のように、誰かに手を差し伸べたりフォローしたりできるのだ。
さくらも二朗をじ〜っと見つめているが、五月に去られた二朗に急接近するのだろうか。「音楽の話ばかりで見限られたのか」と落胆する二朗に「そんなことないです。素敵です」とぐいぐい行く。恋するとがむしゃらになってしまうものなのだなあ。

ゆっくり編むことで肌触りがよくなるというメリアスを編む機械がゆっくり動いている場面に目を奪われた。
武ちゃんが何回も来て見入ってしまっていたわけがわかる気がする。この工場はどうなってしまうのか気になる!
(木俣冬)