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1月31日、幼児教育の「こぐま会」とアニメーション制作会社「P.A.WORKS(ピーエーワークス)」および系列会社が制作した幼児教育パッケージ「ひとりでがんばりマスター!」がリリースされた。

ドコモの生涯教育プラットフォーム「ドコモgacco」の「L3(エル・キューブ)プロジェクト」第一弾としても展開されるこのパッケージだが、そのコンテンツはこぐま会とP.A.WORKSが共同で取り組む「こぐまなびプロジェクト」によるものだ。

なぜこぐま会とP.A.WORKSはタッグを組み、P.A.WORKS側からみれば異分野の教育コンテンツの制作に乗り出したのだろうか。

今回は、P.A.WORKS専務取締役の菊池宣広氏、および教育事業を手がける系列会社・PALABO取締役副社長の星川正幸氏に、同プロジェクト立ち上げの経緯や、アニメーション制作会社が教育事業に乗り出した理由について聞いた。

○「単なる絵」でなく、世界観を含めたキャラクターを提供

――最初に、アニメーション制作会社である御社が、教育事業に乗り出したきっかけを教えてください。

菊池氏:現PALABO副社長の星川の元同僚で、NTTのEラーニング関連会社のご担当から一本のメールをいただいたのがきっかけです。当初いただいたお話は、とあるお客様に対して、こぐま会のカリキュラムとP.A.WORKSのキャラクターを組み合わせた新しい学習システムの提案をしたいので、そのためのキャラクターを描いてくれないか、という依頼でした。

ですが、キャラクターだけをご提供しても、それは単なる絵でしかありません。我々がこれまで作ってきたアニメ作品のように、世界観や物語を総合的に作らないと、学ぶ側にとっても楽しんでもらうことになりません。そのため、世界観の構築を含めきっちりした対応が必要だろうと思い、当時は会社全体でなく、私を中心に進めておりました。

この件をお受けしたベースには、過去にレベルファイブさんとご一緒した「レイトン教授」シリーズの経験がありました。このゲームは企画段階から弊社も参加させていただき、レベルファイブの日野社長やスタッフのみなさんとさまざまご相談させていただきながら、弊社ではアニメーションパートを制作してきました。「頭の体操」で知られる多湖教授が監修した「ナゾ解き」を楽しんで解く作品に携わった経験から、同じように「学び」に対してもアニメーションを役立てることができないだろうか、と考えたんです。

○アニメのポテンシャルと教育事業

――当初は受託事業だったということで、教育関連事業のための子会社「PALABO」を立ち上げておられる現状と異なっているようですが、何か状況が変わったのでしょうか。

菊池氏:ええ、当時は先に申し上げた通り受託事業として取り組んでいたのですが、諸般の事情で提案先から開発を進めることが難しいというご判断が戻ってきたんです。普通ならそこでご縁がなかったとなるのですが、当時は弊社の15周年というタイミングもあって、アニメが持っているポテンシャルはもっと広いのではないかと考えていた時期でもあったんですね。

それは、現状我々が手がけているような観賞を主な目的としたTVや劇場用アニメのあり方だけでなく、もっといろいろな可能性があるのではないだろうか、ということです。

弊社TVシリーズの「花咲くいろは」という作品では、ご協力いただいた湯涌温泉で、作中で創作した架空の祭り「ぼんぼり祭り」を再現いただきました。こうした「観光分野」と結びついた聖地巡礼的なことも、アニメが持つ別の面におけるポテンシャルのひとつとしてあげられるかもしれません。

さらにそれ以外にも可能性があるのではと思っていた時でしたので、受託ではなく積極的に取り組んでみたらどうだろうと考えました。こぐま会の久野先生がお考えになったKUNOメソッドは大変素晴らしいものですので、それを骨組みにし、私たちのほうでエンターテインメント要素を加えつつ、より多くの人たちに楽しく学んでいただけるようにしていきたいと考え、そこからは弊社主導で事業として進める流れになりました。

――こぐま会がすでに幼児教室として高い認知度を得ている中で、今回のeラーニング教材「ひとりでがんばりマスター!」のターゲットとなる「より多くの人」について、詳しくお聞かせください。

菊池氏:地理的な要素で教室に通えない方や、しっかりした教育は受けさせたいが受験までは考えていないご家庭など色々な方がいらっしゃると思います。久野先生ご自身も、もともとはいわゆるお受験のために開発したメソッドではないと仰っていますし、「考える力を伸ばす」ためのカリキュラム内容には我々も大変共感しております。「がんばりマスター!シリーズ」は、そうした広い範囲の方がKUNOメソッドで学んでいただける有効な手段のひとつになれると考えています。

また、我々は富山に拠点を置いていて、地元でこぐま会のカリキュラムを学ぶのは難しいですが、「ひとりでがんばりマスター!」で状況は変わります。デジタルデバイスなどを使うことで、場所や時間の制約のハードルを下げつつ、楽しんで学ぶチャンスを得られるんです。

――拠点のお話ですと、こぐま会は東京を中心に事業を展開しています。同じ都内にも多くのアニメスタジオがあるなか、御社がパートナーとして選ばれた経緯は?

菊池氏:実は人の縁があってのことでして。先にご説明した今回のきっかけとなる案件をご紹介いただいた担当の方が、こぐま会の教材でお子様を学ばせていらして、かつ弊社作品のファンだったんです。こぐま会のプロジェクトを進めるにあたって、当初から弊社がベストであろうと強力にアピールをしていただけたようです。

久野先生は、当時もちろん弊社のことはまったくご存じなくて、コミュニケーションを図る中で、弊社に対してご自身のカリキュラムを提供して協業する、パートナーとしてご判断いただけたのだと思っています。

次回は、「ひとりでがんばりマスター!」を担当した監督や、3DCGへの挑戦など、アニメーション制作にまつわるエピソードを聞いていく。

(杉浦志保)