アルゼンチンのヴィラ・エペクエンと呼ばれるかつて存在した“街”の廃墟/[c]2016 Nikolaus Geyrhalter Filmproduktion GmbH

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テレビ番組「クレイジージャーニー」の人気もあってか、近年改めてブームになりつつある“廃墟”。撮影期間4年、世界70か所以上にも及ぶ“美廃墟”にカメラを向けたドキュメンタリー映画『人類遺産』が3月に劇場公開される。

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本作は記録的なロングランヒットとなった『いのちの食べかた』(05)のニコラウス・ゲイハルター監督が、一切のナレーションや音楽を排し、かつて人間によって作られ、利用され、やがて人間の都合で放置され、朽ちゆく廃墟を極上の映像美で活写。誰もいない廃墟を定点カメラで切り取り、風に揺れる草木や、雲によって変化する日の光などを映し出すことで、見る者に臨場感と不思議な生命力を感じさせるものとなっている。ここでは本編にも登場する廃墟から、世界の美廃墟5か所をピックアップしたい!

■ 孤独な佇まいが美しいコースター「JET STAR」(アメリカ/ニュージャージー州)

遊園地が閉園し、そのまま放置され、廃墟化したスポットは世界中に数多く存在し、“遊園地廃墟”はマニアの間でも高い人気を誇る。その理由は、かつて子どもたちの嬌声が響いたであろう遊園地と、人の気配がなくなった廃墟というギャップが、見る者の心をセンチメンタルにする美しさを持っているからかもしれない。アメリカ・ニュージャージー州のローラーコースター「JET STAR」は、2012年に東海岸を襲ったハリケーン・サンディの影響で、底板ごと海へと崩落。海の中に造られたかのような美しい姿を残している。

■ 歴史に埋もれた様式美「ブルガリア共産党ホール」(ブルガリア/バルカン山脈)

インターネットの隆盛以降、人々に発見された最も有名な廃墟は「ブルガリア共産党ホール」であると言われている。ブルガリア中部の山頂にそびえるこの建物は、ブルガリアの共産主義者たちが集うホールとして1981年に建設。しかし1989年にソ連が崩壊したため、そのままホールは廃棄されて建物だけが残された。内部の建築には古代の円形劇場を彷彿させるソ連の様式美が反映されている。

■ 世界遺産登録もされた廃墟日本代表「端島(軍艦島)」(日本/長崎県)

その見た目から“軍艦島”とも称される端島は、2015年に世界遺産登録されたことでも記憶に新しい。20世紀初頭から石炭の採掘が本格的に始まった端島は、最盛期には5000人以上が住み込んで働いた一大炭坑となった。日本で最初の鉄骨アパートや映画館も建設され、島は労働者とその家族で賑いを見せた。しかしエネルギー産業の中心が石炭から石油へシフトするなかで島の人口は減少、1974年に閉山し、現在の姿となった。そんな端島は日本だけでなく世界の廃墟マニアから“聖地”と呼ばれるほどの人気を博している。

■ かつて存在した街「ヴェラ・エペクエン」(アルゼンチン)

アルゼンチンのブエノスアイレスから西へ600kmの場所にある「ヴィラ・エペクエン」は街全体が廃墟となったスポット。かつてこの場所には塩分の強いエペクエン湖が存在し、その療養効果からリゾート地として栄えた。しかし1985年、街を大雨が襲うと、湖の堤防が決壊し、街が浸水。海抜が低かった街は湖に飲み込まれてしまう。それから25年後の2010年、アルゼンチンで干ばつが起こると湖の水位が下降し、街が湖底から甦ることになる。歴史的経緯からも、一層神秘的に見える廃墟だ。

■ 教会廃墟の最高峰「メソジスト教会」(アメリカ/インディアナ州)

日本ではなじみがないものの、欧米では人気の高い“教会廃墟”。中でも世界最高峰の教会廃墟として人気が高いのがアメリカ・インディアナ州のゲーリーにある「メソジスト教会」だ。20世紀初頭、町は全米最大の製鉄産業で栄え、多くの労働者で賑わったものの、第二次大戦後、製鉄産業が凋落しはじめると町は荒廃。人々も移住し、教会もそのまま廃棄された。1997年には火災にも見舞われ、内部の荒廃も進んだが、その見事な構造から、廃墟マニアの間でも人気が高いスポットとして愛されている。

世界中で愛される美廃墟のディテールや美しさに迫った映画『人類遺産』。行った気になれるほどの大迫力の映像が堪能できる本作で、美廃墟の魅力を体験しよう!【トライワークス】