「HEARTECT(ハーテクト)」と命名されたスズキのBセグメント用プラットフォームを新たに採用した新型スイフト。

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アンダーボディは先代スイフトの117kgから30kg減となる87kgを達成しているそうで、骨格同士が結合する強い部分を大きな負荷のかかる部品の固定に利用することで、補強部品の削減といったシンプルで合理的な設計となっています。

さらに、こちらでもご紹介したように車両全体(車両重量)では120kgもの軽量化が果たされています。新型スイフトに乗ってみると、現行アルトのように明らかに軽いフィーリングではなく、コンパクトカーに求められる剛性感の高さや、落ち着いた乗り心地などが感じられますから、よい意味で軽々しくない(安っぽくない)乗り味は歓迎できるところ。

軽量化により燃費はもちろん、走りの面でも長所があります。まずは良好な加速フィール。1.2LのNAエンジン(91ps/118Nm)でも力不足を抱かせないのは、CVTを搭載する「XL」がわずか890kgという重量に収まっているのが大きいのでしょう。それほどアクセルを踏み込まなくても加速してくれますから、回転と音ばかり高まるCVTの難点を意識させられるシーンは少なくすみます。

1.3Lを積むガソリンのデミオは92ps/121Nmで、数値上はスイフトを上まわりますが、平坦な高速道路の法定速度までであればスイフトの方が速く感じるほど。

MTにもちょい乗りですが試す機会がありました。こちらも1.2LのNA(91ps/118Nm)を搭載する「RS」というグレード。

5MTのフィールは実用車のそれで、「RS」というスポーティなイメージを喚起させるグレード名ほど硬派なシフト(ショートストロークではない)やクラッチペダルのタッチではありませんが、毎日乗るのも楽な設定になっています。

「RS」の5MTはさらに軽い870kgで、コーナーでの立ち上がりなど街中でもその軽快感はほかの国産コンパクトカーにはないテイストといえます。

なお、シフトレバーの操作性でいうと、ATとCVTは操作感が曖昧なところがあり、Dレンジに入れたと思ったら一番下のMレンジに入っていたり、リバースに入れるつもりがN(ニュートラル)だったりするなど、操作性は少し改善の余地がありそうです。

走りの面で課題があるとしたら、乗り比べたマツダ・デミオと比べると、音・振動面でデミオには少し及ばないかなという点。パワートレーンを問わず、低速域を中心とした「こもり音」が少し耳に届き、とくに直噴3気筒のターボ(RSt)は、タウンスピードでこうした傾向を意識させられます。

乗り心地の好みは人それぞれでしょうが、スポーティなフットワークが期待されるスイフトだけに、「RS」だけでなく標準グレード系でも少し跳ねるような乗り味に感じます。

パッケージングの面でひとつ気になるのは、全高を下げて後席の着座位置も低くしている点。とくに後席の乗降時に全高の低さを意識させられます。また、45mm低くなった後席ヒップポイントは、身長171cmの私にはやや低い場所に潜り込んだ感覚が強めで、長時間の乗車だと快適性がどうか気になるところ。逆にデミオと比べると、前席も後席も座面の前後長が長く感じられるなど、シートサイズの大きさは美点といえます。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

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