大阪大学の研究チームが「地球の酸素イオンが月へと送られている」ことを発見しました。この現象は、人類が誕生するはるか昔から引き続き起こっているとみられています。

Biogenic oxygen from Earth transported to the Moon by a wind of magnetospheric ions : Nature Astronomy

http://www.nature.com/articles/s41550-016-0026

大阪大学学院理学研究科の寺田健太郎教授の研究グループが、月探査衛星かぐやの観測データから月の周辺の気体を分析したところ、酸素イオンが含まれていることを確認しました。この酸素イオンは月の周囲にわずかに存在する酸素イオンとは異なる特徴を持っており、地球から放出された酸素イオンが月に到達したものと推察されています。

地球の磁気圏には地球由来の物資がプラズマ状態で存在しています。このため、地球の磁気圏には酸素イオンが高濃度で存在しています。他方で太陽から粒子が吹き出す太陽風の影響を受けて、太陽から離れる方向に磁気圏が広がっており、この部分に地球由来の物質が比較的高濃度で存在しています。



寺田教授の研究グループは、27日周期で地球の周りを公転する月が地球の磁気圏に入る期間に月の酸素イオン濃度が増加することを確認しました。つまり、月が地球の磁気圏にすっぽり入り太陽風の影響から遮断される5日間だけ酸素イオン濃度が上昇することから、月の酸素イオンは地球由来のものであると結論づけられるというわけです。



地球から月へと酸素イオンが送り込まれている現象は、地球の酸素濃度が上昇し始めた24億年前から起こっている可能性が高いとのこと。月に到達した酸素イオンは金属に浸透して酸化物として存在する可能性があるため、月には太古の地球を覆っていた大気の痕跡が保存されている可能性が指摘されています。