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 デジタル上でのコミュニケーションは、企業のマーケティングやブランディングを明らかに変革し、速度と深度を増している。有園雄一氏が業界のキーパーソンや注目企業を訪ね、デジタルが可能にする近未来のマーケティングやブランディングについてディスカッションする本連載。今回は、テクノロジーの発展により、そのあり方や取り巻く状況が大きく変わりつつあるテレビ業界に注目。テレビ朝日の岩田淳氏は、「技術の発展とともに変わる仕組みを押さえつつ、それに沿う制作の仕方をステークホルダーとともに議論することも大切」と語る。

■放送と通信を取り巻く環境が激変している
テレビ朝日ホールディングス 経営戦略部 渉外担当部長 岩田 淳氏(写真左)
zonari 代表執行役社長/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真右)

有園:岩田さんとは、昨年アドテック東京でご一緒し、テクノロジーによってテレビCMがどう変わるかというディスカッションをさせてもらいました。実際に、リーチでいえばマス広告の最たるものともいえるテレビCMも、視聴データを基にターゲティングができるようになっていることで、デジタル広告のような運用にも可能性が出てきています。

 それ以外にも、昨年は放送と通信に関わるトピックが多かったですよね。サイバーエージェントが御社と組んでリリースしたAbemaTVは、大ヒットと言える広がりを見せています。

岩田:おかげさまで、予想を上回る状況ですね。他にも、民放各局で展開しているTVerも軌道に乗りました。

有園:そうですよね。そこで今回は、少し俯瞰的に放送と通信を捉えて、近い将来に我々デジタルのビジネスにどんな影響があるかを探りたいと思います。まず、岩田さんの現在の業務とご経歴をうかがえますか?

岩田:広告営業を14年、編成を5年経験し、2003年からは地上デジタル放送の推進業務に携わりました。その後デジタルコンテンツ事業等に関わっています。

 直近では4年ほど韓国に駐在し、提携放送局との調整などを担当して、2015年から現職です。今は肩書きどおり渉外担当として、放送と通信に関する幅広いテーマで、総務省をはじめ関係各所と検討したりトピックを社内に伝えたりしています。外部とのパイプ役、事務局のような存在ですね。

 また、TVerの運営にも参加しており、こちらは具体的な展開やPR策などを各局で調整しながら推進しています。

■総務省と放送各局で検討されていること

有園:渉外担当としての業務ですと、最近ではどんなテーマが議題に上がるのですか?

岩田:たとえば先行してCSやケーブルテレビ、BSでスタートしている「4K・8K放送」や、電波の利用についてなどですね。総務省が継続的に開催している「放送をめぐる諸課題に関する検討会」の親会や各分科会で主に話し合われるほか、電波に関しては「電波制作2020懇談会」という会議が昨年開催されました。

 電波というより、無線通信ネットワークというほうが、デジタル業務に携わる人にはピンとくるかもしれません。たとえば自動運転自動車も無線通信を使いますし、その他のIoTももれなく同じなので、簡単にいえば今、電波を使いたい事業者が一気に増えている。今年がちょうど電波利用料の見直しのタイミングなのですが、それにも利用者増大の状況が勘案されるでしょう。

有園:やはり“2020”はひとつのタイミングというか、契機にしたいという意向があるんですね。

岩田:具体的に当社にあるわけではないですが、産業界の動きや世間の期待を踏まえると、その時点でスムーズな状況にしておこうという考えは各種の検討会に共通していると思います。

有園:なるほど。昨年10月19日、朝日新聞に「総務省がネット同時配信を2019年に全面解禁する方針」という記事が掲載されたんですよね(※)。

 NHKのネット同時配信を制限している現在の放送法を改正し、民放にも参入を促すと。同時に、ネットで視聴するユーザーからもNHK受信料を徴収する仕組みも検討する、といったことも指摘されていました。

※『テレビ、ネット同時配信へ 法改正で19年にも全面解禁』,朝日新聞DIGITAL

高島 知子[著]、有園 雄一[聞]、関口 達朗[写]