イスラエル入植用住宅建設再開を報じる「El Pais」紙

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 イスラエルびいきのトランプ氏が大統領に就任する1月20日に、オバマ大統領が最後の署名をしたものにパレスチナへの2億2100万ドル(254億円)の支援金の承認があった。しかし、トランプ氏が大統領に就任するや、彼は正にイスラエルしか支援する意思がないかのように<この支援金の提供を凍結させることに署名>した。(参照「HispanTV」)

 パレスチナにこの20年余り米国は経済支援として45億ドル(5100億円)を提供している。(参照「El Medio」)

 しかし、実際にはこの支援金の多くが本来の民主化と経済の発展に使われておらず、汚職と反民主的政治の中に埋もれてしまっているというのが現実である。20年間に250億ドル(2兆8600億円)という多額の支援金をパレスチナは複数の国から受けて来たのである。イスラエルによる妨害があるとしても、パレスチナの経済の発展の兆しは今も見られない。(参照「El Medio」)

◆予想されるイスラエル入植の加速

 一方のイスラエルは、トランプ大統領の登場によって、これからもパレスチナ領土での入植そして住宅建設は急増して行くのは目に見えている。東エルサレムで中断されていた566戸の建設が始まったと思うや、<ヨルダン川西岸地区でも2500戸>の住宅建設がイスラエル政府によって承認された。(参照「Europa Press」)

 今後もイスラエルは東エルサレムに<1万1000戸の住宅の建設が計画されている>という。(参照「El Pais」)

 しかも、イスラエルで入植を積極的に支持している極右政党「ユダヤ人の家」は、東エルサレムの<マアレ・アドミム地区での入植を積極的に進める計画>をもっている。ネタニャフ首相は米国でトランプ政権が誕生するまで、この計画の推進は控えるように促してきた。仮に、このプランを積極的に展開して行くと、アラブ諸国からの反発は必至だからである。

 トランプ大統領が入植の支持者であるということならば、イスラエルにとって都合がよいことになったとも思えるが、ことはそう単純ではない。ネタニヤフにとっては、入植を積極的に展開することを支持している連立政権のひとつ極右政党「ユダヤ人の家」に対して、米国政府から要請を受けているから入植を抑えるようにといってコントロールするための口実がなくなったことを意味するからだ。(参照「El Pais」)

 いずれにしても、このような状況下では今後、入植が加速化されることは想像に難くない。

 すでに、イスラエルによるこれまでの入植で<15万戸が違法に建設>されているという。イスラエルの住宅難に苦しむ市民にとって、入植地で住居を構えることは市街に住むよりもその費用は遥かに安い。3部屋のマンションを市内に求めようとすると<25万ドル(2900万円の)費用>が掛かる。入植地だとそれが<2万5000ドルから5万ドル(288万円から580万円)の価格>で手に入るというのである。(参照「ゲートストーン研究所」)

◆反故にされたオバマの置き土産

 これまでパレスチナ領土でのイスラエルのこの入植活動の停止を義務づけたのは国連による決議2334号である。しかし、この決議案に新たな案件が草案されても、これまで米国は常に拒否権を行使して、この決議案を否決してきた。ところが、昨年12月23日に残り僅か1か月の職務となったオバマ前大統領がついにこの拒否権を行使することを米国の大統領として初めて放棄して棄権に回ったのであった。これによって、ニュージランド、マレーシア、セネガル、ベネズエラの草案が安保理で14か国の賛成、反対なし、そして棄権が米国ということになって、決議案が初めて採決された。賛成した国はスペイン、ロシア、フランス、英国、中国、日本、エジプト、ウルグアイ、アンゴラ、ウクライナ、セネガル、ベネズエラ、マレーシアの14か国であった。この時、ネタニャフ首相はダン・ジャビロ米国大使を呼びつけて厳重に抗議したという。又、それ以外で賛成に回った国に対しても忠告している。