「不動産流通システムREDS HP」より

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 不動産を不動産業者から購入した場合、仲介手数料がかかる。この業界のルールを知っている消費者は男性24.0%、女性17.6%で、多くの消費者は知らない。売買の場合、売買価格が400万円を超える不動産売買の仲介手数の法定上限は、「売買価格の3%+6万円+消費税」で求めることができる(賃貸の場合、貸主・借り主双方を合計して賃料の1カ月分に相当する金額が仲介手数料の上限)。

 消費者が、不動産売買の正確な仲介手数料のシステムを知らないまま、不動産会社から請求される「上限」の金額をそのまま支払っている――。この調査結果を明らかにしたのは、株式会社不動産流通システム(REDS・レッズ)の調査だ。

「仲介手数料は法律で『上限』が定められており、この範囲内で自由に設定することができます。ところが、多くの業者が顧客に説明することもなく、上限価格を請求しているのです。ほとんどの人がこうした事実を知らないため、言われるままに支払っているであろうという状況が浮き彫りになりました」

 こう話すのは、レッズの深谷十三代表取締役だ。深谷氏は「不動産売買の仲介手数料を『最大無料』とし、低価格で高品質な仲介サービスの提供を目指す」というフレコミで新しいビジネスモデルを導入している。

 たしかに、ここ最近、「仲介手数料は家賃の50%」という店頭ののぼりや、「仲介手数料ゼロ」といった表示の賃貸物件のサイトを見かけることが多い。これまでは賃貸契約の際に、不動産業者に「家賃1カ月分の仲介手数料を払う」ことが一般的だったが、近年はそうしたかつての「常識」が崩れて、不動産の売買も変わりつつある。

「当社の場合は、売買において、売り主が不動産会社の場合は、売り主からのみ上限の仲介手数料をもらい、個人の買い主の仲介手数料を無料とします。個人の売り主を別の不動産会社が仲介している場合には、無料とすると報酬ゼロになってしまいますから、個人の買い主への仲介手数料は上限よりも値引きをしています(現在は東京23区限定)」

●両手仲介

 では、実際には、仲介手数料の相場はいくらなのか。土地総合研究所の「不動産業についてのアンケート調査 報告書」によれば、売買の仲介手数料は、売買価格の3%未満は30%、3〜4%未満26%、4%以上が43%。土地総合研究所によれば「3%を上回る仲介手数料が多くを占めていることから、『両手仲介』が多いことが示唆される」という。

 両手仲介とは、自社の顧客である売り手の物件を、自社の顧客の買い手に仲介することによって、売り主と買い主の双方から仲介手数料をもらうことだ。不動産業界では双方代理が許されており、利益相反の恐れがあると指摘されているのだが、業界には深く根付いており、両手仲介のために囲い込み(他社の顧客には売らない)まで行うのだ。

 また、この調査からは仲介手数料の上限を得る不動産会社が多いものの、3割の不動産会社が値引きをしているということがわかる。

「将来的には両手仲介は禁止し、業界の風通しを良くすると同時に、仲介手数料の上限を撤廃してもいいと思います。お客様のニーズに合った良質なサービスを提供できれば、相応の仲介手数料が支払われるべきですから。お客様のニーズも変わってきています。これまでの駅前にお店を出してお客様を待ちレインズ(不動産流通標準情報システム)の物件を紹介すればいいというビジネスモデルから、インターネットを通して自ら情報を集めるようになったお客様に選ばれるサービスの競争をしなくてはなりません」

●顧客サービス本位のビジネスモデル

 深谷氏が語るのは不動産業界が繁栄できる未来だ。今は業者だけが独占的にアプローチできるレインズの情報も、いずれはインターネット上で公開するようになるだろう。ただし、不動産の取引には面倒な手続も多いことから、専門性の高い仲介業者が必要になってくる。

「これだけ高額の商品を扱うのに、宅建の資格、これは運転免許証のようなものですが、5人にひとりいればいいという決まり(宅建業法)になっている、業者の中にはこの資格を持っている人間がごくごく少数というところもある。これで、消費者のニーズにあったサービスを提供できるのか。当社の社員は、宅地建物取引士の資格は必須。全国で数百人しかいない公益財団法人不動産流通推進センター『宅建マイスター』の資格を持つ専門家を採用するように努めています」

 宅建の資格とは、宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格(宅地建物取引士)で、不動産取引などにかかわる試験をクリアし、消費者との契約には立ち会わなければならないとされているものだ。いわば不動産業者の最低限の資格なのだが、この資格を持たずに、ビジネスをしている社員もいるのが業界の現状なのだ。

 現在社員は14人、経験も豊富でスペシャリストばかりだ。この社員たちも、囲い込みなどで、売り手のためにも、買い手のためにもならない業界の悪弊に嫌気がさして、転職してきた中堅社員ばかりだ。他の業者が宅建の資格も持たない若手社員が営業する世界で、経験豊富で懇切丁寧な仕事ぶりが注目を集めているという。

 つまりとかく自社本位になりがちな不動産業界のなかで、顧客サービス本位のビジネスモデルを展開しているのだ。
(文=椎名民生)