3月に再開するロシアW杯最終予選。浅野(左)と鈴木(左)の台頭に期待したい。写真:佐藤明、小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 ベテランの岡崎慎司か、ケルンで進境著しい大迫勇也か、それとも鹿島アントラーズでエースを張っている金崎夢生か――。
 
 ロシア・ワールドカップ行きを懸けたアジア最終予選は残り4試合とこれから佳境を迎えるが、センターフォワードを巡る争いからも目が離せない。
 
 最終予選、そして本大会に向けたエース候補は冒頭の3人に絞られたわけではない。飛躍のきっかけを掴んだふたりの俊英が、熾烈な争いに割って入ろうとしている。シュツットガルトの浅野拓磨(22歳)と鹿島の鈴木優磨(20歳)だ。
 
 四日市中央工業高時代に高校選手権得点王に輝いた浅野は、サンフレッチェ広島入団3年目の2015年に才能を開花させた。スーパーサブとして8ゴールを叩き出し、チームのJ1制覇に貢献。2016年はリオデジャネイロ五輪を経て、アーセナルに引き抜かれた。
 
 英国の労働許可が下りなかったため、今シーズンはレンタルでブンデスリーガ2部のシュツットガルトに新天地を求めた。
 
 天性のスピードを誇る浅野は、「ジャガー」の愛称そのままに鋭い加速で敵陣を切り裂き、痛快にゴールを陥れる。その爆発的な速さはスペースがあるほど活きるが、初動から瞬く間にトップスピードに乗るため、敵が密集する狭い局面でも脅威となる。
 
 2部とはいえドイツという厳しい環境に身を置いたことで、持ち前のスピードを活かす駆け引きは巧妙になってきた。一旦、ペースダウンして内に切れ込む動きで相手DFを釣り、ふたたび外に持ち出して勝負。コース取りや緩急の変化によって敵を外し、フィニッシュに持ち込むしたたかさを見せるようになった。
 
 シュツットガルトには移籍期限ギリギリの加入ながらも、早くもレギュラーに定着してここまで14試合出場で2ゴール・4アシスト。新天地でプレーの幅を広げていることは間違いない。
 浅野がスピードなら、鈴木は肉体の強さで勝負する。
 
 ジュニア時代から鹿島一筋で育った鈴木は、2015年にトップチームへ昇格。2016年シーズン終盤戦、鹿島はチャンピオンシップからクラブワールドカップ、さらに天皇杯で快進撃を見せる。この連戦の中で、鈴木はスケールの大きさを印象づけた。
 
 浦和レッズとのチャンピオンシップ第2戦では58分に途中投入されると、78分に鋭い嗅覚で敵のミスを突き、力強いドリブルから値千金のPKを獲得。また、アトレティコ・ナシオナルとのクラブワールドカップ準決勝でも終盤に投入され、ファーストプレーで抜け目なく3点目を決めた。
 
 球際での激しさ、力強さを身上とする鈴木は、空中戦にも滅法強い。
 
 レアル・マドリーとの大一番となったクラブワールドカップ決勝で同じく途中投入された鈴木は、延長前半にバーを直撃するヘディングシュートを放った。抜群の跳躍力に目を奪われるが、ポジショニングやタイミングも絶妙だ。敵の前に身体を捻じ込み、ボールを叩く。
 
 異なるスタイルを持つ浅野と鈴木だが、共通点もある。短い時間の中でも、決定的な働きができるところだ。
 
 浅野のプレーで思い出されるのは、オリンピック予選も兼ねたU-23アジア選手権決勝の韓国戦だ。日本は序盤から押し込まれ、前半で2点のリードを許した。しかし60分に浅野が投入されると流れは劇的に変わり、反撃の狼煙を上げる1点目、さらに2-2で迎えた81分に逆転ゴールを決め、日本を優勝に導いた。
 
 鈴木もまた前述したように、クラブワールドカップで終盤のジョーカーとして世界の強豪を脅かした。
 大舞台でゲームの流れを一変させる――。これができるのは、ふたりが並外れた集中力を備えているからだ。そしてもちろん、度胸も据わっている。