地方では事業承継の際に、息子や娘が家業を継ぎたがらず、結局廃業してしまう企業がとても多い(写真はイメージで本文とは関係ありません)

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2012年頃に登場し、わずか5年で全法人の約4分の1以上、個人事業主と合わせて100万を超える事業所が導入している「クラウド会計」。本連載は税理士と公認会計士がインタビュアーとなり、クラウド会計を活用して生産性を上げている企業の事例を紹介していく。

第3回は、前回紹介した福岡県の小さなキムチ販売店OKK FOODSの会計事務所であり、企業へのクラウド会計導入にも豊富な経験をもつ株式会社クラウドコンサルティング代表取締役COOの高島卓也氏に、クラウドサービスの現状と、導入効果の大きい企業の特徴、さらには導入にあたって乗り越えるべき課題などを聞いた。(構成/加藤年男、写真/竹内洋平)

 クラウドコンサルティングは、通常の記帳代行や決算業務も請け負いつつ、クライアントの課題に合わせて生産性を上げるためのクラウドサービスを選別し、その導入・運用までをサポートする異色の会計事務所である。

社長の時間はタダじゃない

土井 前回のOKKFOODSのように、積極的にクラウド会計を導入している企業がある一方で、利便性を知っても導入に消極的な企業も多いですよね。高島さんの経験上、クラウド会計導入を阻む要因はどこにあると思いますか?

高島 そもそもクラウド会計は、管理業務が煩雑で困っている会社に即効性があります。前回紹介したOKK FOODSは、キムチの製造・販売と飲食店経営という2部門を持っていたことや、売上管理がアナログで人件費がかかっていたところに、クラウド会計がうまく機能した好例です。しかし一般的には、現金商売の会社はクラウド会計を入れたがらない傾向があります。売上集計に特化したタブレットレジには興味を示しても、クラウド会計のメリットを享受するために銀行口座と連携する話をしただけで、「毎日、銀行に行っているから必要ない」と拒否反応を示されるケースが多いです。

土井 毎日の銀行の往復時間や窓口での待ち時間がなくなるだけでも、相当な効率化につながりますよね。アナログ作業に大きな人件費がかかっていることに気がついていない、ということなのでしょうか。

高島 自分自身の時間を“タダ”だと思っている社長が多いのです。当然、トップの時給が一番高いわけですが、そこの認識を改めてもらわなければいけないという壁があります。もっとも、クラウド会計を入れたあとでは、自分の時間もコストであると認識を変えてくれます。

河江 現状の経理システムに不満やストレスを感じていなければ、「クラウド会計を導入しても仕事が増えるだけだろう」と考えてしまうのも無理はないかもしれませんね。

高島 今はうまく回っていても、少子化で人材採用が厳しく、人材不足が深刻化する中、もし人が減ったらどんな問題が起こるか。そこに危機感を強く持っている経営者は、導入に積極的です。

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