中国人が大皿料理を直箸でつついていたり、「嫌い箸」と言われている箸の使い方をしていたりすると、行儀が悪いと思ってしまうことがあるでしょう。箸のマナーは、日本のものであって、グローバルスタンダードなルールではありません。

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インド人がカレーを手で食べていても行儀が悪いと思う人は少ないでしょうし、それを真似ようとする人もいるでしょう。ヨーロッパ系の人が、握り寿司に箸を突き刺して食べていたとしても、行儀が悪いとは思わずに、単純に箸を上手に使えないのだろうと思うだけです。

しかしながら、中国人が大皿料理を直箸でつついていたり、「嫌い箸」と言われている箸の使い方をしていたりすると、行儀が悪いと思ってしまうことがあるでしょう。箸のマナーは、日本のものであって、グローバルスタンダードなルールではありません。同じ箸を使う人だからと言って、みんなそのマナーを守っているのだということではありません。

こんな感じで、見た目に大きく違うことに対しては、『違う』という認識を前提に物事を考えるのに対し、見た目に大きく違わずに微妙に違うことの方が、違和感というか、気持ち悪さが強くなるのだと思います。

日本国内であっても、例えば「雑煮」は、各地で汁の味付け、具材、餅の形状や焼くか焼かないかというような細かい違いがあります。料理名は一緒でも自分が思っている雑煮と全く違う雑煮が出てくることがあります。出身地が違う同士が結婚をし、料理の味付けや、昔ながらの風習というような、常識だと思っていたことの違いが原因で夫婦喧嘩になるという話も聞きます。

ましてや中国は外国です。日本とは違うことが多いのは当たり前です。しかし顔つきが似ている、漢字を使うというような共通することが多いですし、仕事で対応する中国人の多くは日本語が話せることもあり、なかなか違うということに気づきにくいのではないかと思います。

違うということを前提に考えると、こちらも気が楽になります。違うから知らないのが当然で、それを教えるところから始めれば、「何でこうなるんだろう」「何でこんなこともできないんだろう」と思ってイライラする必要はなくなります。思い込みによって、お互いの認識がズレているのに気づかないまま業務が進んでしまったことによるトラブルも防げるでしょう。

更に、日本人同士の配慮、気遣いといったものについて、特に口に出さずとも分かり合えるということがありますが、中国人に限らず外国人には通用しないと考えておいた方がいいでしょう。日本で当たり前のことでも、外国人にはわかりません。そういう配慮をしたいのであれば、ちゃんとアピールをすることで、「こんなに気遣いをしているのに、リアクションがない」と、イラつくこともなくなります。

『違う』という認識を常に持ち、その『違い』を埋める方法を考え対応をすれば、ストレスは溜まりませんし、仕事もスムーズに進むことになるでしょう。

■筆者プロフィール:田中 周 (たなか しゅう)
1963年大阪府生まれ。メーカーの宣伝関係部署に勤務し、20年近く中華圏に対する広告、イベント、展示会等の施策を担当。出張した都市は30都市以上。対中国のビジネスを順調に進めるための、ちょっとした気遣い、工夫の仕方、中国人との付き合い方をご紹介。