<選挙戦中から恐れられていたことだが、いよいよトランプ政権の極右、バノン首席戦略官の暴走が始まったかもしれない。選挙の洗礼も議会の審査も受けていない男が安全保障の最高意思決定機関NSCの常任メンバーにとり立てられて、我慢も限界だという声が上がっている>

 イスラム教徒が多数派の中東・アフリカの7カ国の国民の入国を一時禁止し、内戦から逃れるシリア難民の受け入れを無期限停止する──こんな出来すぎた大統領令を、ドナルド・トランプが一人で考えられたはずはない、と信じる人は少なくない。トランプ米大統領でなければ一体誰の仕業か。多くが黒幕と疑い、何としても暴走を止めたいと思っている男が、スティーブン・バノン大統領上級顧問兼首席戦略官だ。

 大統領令が出た翌日の土曜、「バノン大統領を阻止せよ(#StopPresidentBannon)」のハッシュタグがツイッターで拡散された。やり玉に上がったバノンは、右派ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」の前会長だ。米政治情報サイトのポリティコによると、バノンはスティーブン・ミラー大統領補佐官と組んで、関係官庁にほとんど相談もなく、大統領令の草案を作成したという。

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バノンはプロパガンダの黒幕だ。権力を守るためなら、今後も手当り次第に政治的な火種を利用するだろう。


 金曜にトランプの大統領令が署名と同時に発効すると、全米に混乱が広がった。土曜に連邦判事が大統領令の効力を部分的に停止する判断を下すまで、国内のあちこちの空港で、入国を認められず身柄を拘束される人が相次いだ。

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連邦機関、当日まで発令知らず

 数十年続いた移民政策の突然の変更にも、政府は「準備万全」だったとトランプは主張した。だが米CNNは、国土安全保障省の職員が大統領令の存在を知ったのは、発令当日だったと伝えた。バノンとミラーは、大統領令はグリーンカード(アメリカ永住権)を持つ人には適用されないとした同省の手引きを却下したとの報道もある。ただし日曜にホワイトハウスは、グリーンカード保持者は空港で個別の審査が必要なものの、入国禁止の対象外だと説明した。

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 土曜にトランプが署名したもう1つの大統領令によって、そのバノンの米政府内における地位はますます強力なものになった。バノンは、安全保障の最高意思決定機関である米国家安全保障会議(NSC)で閣僚級委員会の常任メンバーに引き上げられた。代わりに情報機関を統括する国家情報長官や、米軍のトップである統合参謀本部議長を常任から非常任に格下げした。これにより、彼らが委員会に出席するのは彼らの専門知識に関わる懸案事項について議論する場合に限られることになった。

ニコラス・ロフレド