4月21日のダイヤ改正時に登場する予定の新型500系が、1月27日に東武鉄道の南栗橋車両管区で報道陣にお披露目された。東武鉄道の特急といえば、「スペーシア」の愛称で親しまれる100系、赤い色の外観が鮮やかな200型・250型「りょうもう」が知られているが、東武鉄道にとって実に26年ぶりの特急型電車の導入ということになる。

※)「スペーシア」は、東京の浅草駅・JR新宿駅と栃木県の東武日光駅、または鬼怒川温泉駅(新藤原駅)を結ぶ。一方の「りょうもう」は、浅草駅と主に赤坂駅やまたは伊勢崎駅の間を走っている。

 

新型500系の愛称は「Revaty(リバティ)」。「Variety」=多様性と、「Liberty」=自由さという2つの言葉を組み合わせた造語だ。ここでは、満を持して登場した特急型電車はどのような特徴を持つ車両なのか、魅力を含め探っていこう。

↑運転席をはさみ、中央部に貫通トビラが隠されている。その上部にガラス窓と予備の前照灯が付く

 

【車両の特徴】途中駅で併結・分割が可能な貫通トビラ持ち

これまでの東武鉄道の特急電車100系、200型・250型は6両固定編成だったが、新型の500系リバティは3両1編成。先頭車両の中央部に貫通トビラ・貫通ホロをそなえている。貫通トビラ・貫通ホロを持つことによって、途中駅での連結/切り離しが可能になった。こうした併結・分割機能を生かして2編成を連結/切り離し、一部区間では6両で、一部区間では3両で走らせることができる。

 

JRや大手私鉄を含めて、貫通トビラ・貫通ホロを持つ特急車両は珍しくない。ところが、前後どちらか一方のみが貫通トビラ・貫通ホロ付きで、片方は貫通トビラがない非貫通という車両も多い。500系は前後に貫通トビラ・貫通ホロが付く。どのような運転方法を考えているのだろう。

↑2編成の間の連結部。カバーが左右に開いてホロが結びつく。もちろん、連結中は車内移動が自由に行える

 

東武鉄道では、下り列車なら浅草駅〜下今市駅間は2編成が連結して走り、下今市駅から先は3両ずつに分かれて、「リバティけごん」が東武日光駅へ、「リバティあいづ」は会津鉄道の会津田島駅へ向けて走る。上り列車はその逆の行程となる。

 

そのほかにも、「リバティけごん」「リバティあいづ」だけでなく、「リバティりょうもう」や「リバティきぬ」といった列車も運行。さらにラッシュ時に着席しての通勤が可能な「スカイツリーライナー」や「アーバンパークライナー」(アーバンパークライン=野田線へ乗り入れる)という特急も500系リバティを活用して誕生の予定だ。併結・分割機能を生かすことで、それだけフレキシブルな列車の運転が可能になったわけだ。

↑分割作業の様子。まずは両編成のホロを外して縮め、中央部の貫通トビラのカバーを閉める

↑連結器を切り離す。短時間に分割・併合ができるように工夫されている

 

【外観】シャンパンベージュが基調の車体とほどよいアクセントの貫通トビラ

車両のデザインは奥山清行氏が代表を務める「KEN OKUYAMA DESIGN」が監修。車体のカラーは「シャンパンベージュ」を基調としている。報道公開の当日は好天に恵まれ、より明るく見えたせいもあるが、ベージュというよりも薄いゴールドとに近い色に見えた。さらに、側面の窓部分は沿線の豊かな自然を表現した「フォレストグリーン」とブラックでカラーリングされている。

 

また、車両の顔でもある正面はかなり個性的だ。運転席部分はブラックの塗り、ややつり目型のLEDライトが運転席の下に装着された。左右の運転席の間には貫通トビラ・貫通ホロのカバーが配置される。正面デザインのなかで大きな比重を占める貫通トビラのカバーだが、絶妙な形の丸みが付けられ、まとめられている。むしろこのカバーがほどよいアクセントとなって精悍(せいかん)さが増し、正面のスタイルとして巧みにまとめられた印象だ。

↑基調となる色は「シャンパンベージュ」。窓部分には「フォレストグリーン」が配された

↑車体動揺防止制御装置(フルアクティブサスペンション)を全車両に搭載、乗り心地の向上を図る

 

【車内】天井や座席、壁の装飾で江戸文化の趣を表現

つぎに車内を見てみよう。入ると、まずは天井スペースが目に付く。照らすほどよい調光、白い色づかいが心地よい。照明のカバー部分は柔らかな曲線を描いており、これは沿線を流れる鬼怒川や隅田川の流れをイメージした造形だとされる。

 

座席はリクライニングシート。腰掛けの生地には伝統色である「江戸紫」に江戸小紋をモチーフとした柄のデザインで、ひじかけ部には江戸工芸である「印伝」をあしらった。さらに、窓の間の柱部には江戸小紋で縁起物の「勝虫(トンボ)」がデザインされている。

 

細部にこだわった車内デザイン。車椅子対応シートのほか、バリアフリー対応の多機能トイレも設けられている。全座席にコンセントが装着されたポイントも、現代流の特急ならでは“欲しかった装備”といって良いだろう。

↑天井スペースの造形が特徴の500系の車内。1号車と3号車はほぼ同じ構造になっている

 

↑2号車に設けられた1人掛け用の車椅子対応シート。窓間の飾りは江戸小紋の縁起物「勝虫」(トンボ柄)

 

↑腰かけの色は江戸紫で、柄は江戸小紋の「継小紋」をモチーフとした。コンセントも全座席に装着される

 

【運転予定】東武日光線の増便用としてラッシュ時の特急も充実

500系リバティは4月21日に実施される東武鉄道のダイヤ改正に合わせて登場する。それまでに3両1編成、計8編成が造られる予定だ。4月21日の“始発列車”は、上り5時36分、春日部駅発の「スカイツリーライナー2号」浅草駅行きが最初の列車となる。下りは6時30分、「リバティけごん1号」東武日光駅行きと「リバティあいづ」会津田島駅行きが、連結して浅草駅を出発する。

 

さらに、500系リバティの新造によって、主に東武日光線の特急列車は増便される予定だ。そして前述したように、「アーバンパークライナー」や「スカイツリーライナー」というラッシュ時用に通勤特急にも活用される。

↑運転席は通常の車両よりもやや狭い印象。左手で操作するワンハンドマスコンが運転台上に付く

 

東武鬼怒川線では、8月10日からSL大樹の運行という、“一大プロジェクト”が控えている。それだけに東武鉄道が500系リバティへかける思いは強いと感じた。また、特急リバティの運行で世界遺産に登録された日光の社寺はもちろん、鬼怒川温泉。さらに、その先の野岩鉄道(やがんてつどう)、会津鉄道の沿線の注目度が高まることになるだろう。新型特急の登場とともに、そうした沿線の観光地の魅力にも目を向けたいものである。