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By Mike Licht

トランプ大統領は2017年1月25日に選挙戦の公約に掲げていた「メキシコ国境での壁建設」を実現させるための大統領令に署名しました。不法移民・麻薬・犯罪者を締め出すためにメキシコ国境に建設されるという巨大な壁「グレートトランプウォール」ですが、その建設に一体どれくらいの費用が必要になるのかをMIT Technology Reviewが試算しています。

Bad Math Props Up Trump’s Border Wall

https://www.technologyreview.com/s/602494/bad-math-props-up-trumps-border-wall/



トランプ大統領が大統領就任後すぐに実行する公約として発表したのが「100日プラン」。この中の「不法移民を根絶するアクション」に「メキシコとの国境沿いに壁を建設し、その建築費用をメキシコに負担させる」という記述がある通り、トランプ大統領はメキシコ国境に壁を建設するための大統領令を出しています。トランプ大統領は「壁建設にかかる費用は80億〜120億ドル(約9150億〜1兆3700億円)程度」と試算していましたが、これは大きな間違いであるとMIT Technology Reviewは指摘しています。

トランプ大統領は最初にメキシコとの国境である全長1951マイル(約3141km)すべてに壁を建設すると提案しましたが、のちに、山などの「移民が侵入するのが困難な場所」を除く国境の約半分に壁を設置するとコメントしています。

また、トランプ大統領が構想する壁の建設地点には、既に653マイル(1050km)にわたりフェンスが立てられています。このフェンスは自動車や歩行者による不法入国を防ぐために設置されたもので、これらの設置には2006年からで23億ドル(約2630億円)の費用がかかっています。もし、このフェンスの代わりに壁を建設し、トランプ大統領が約束した通り鋼鉄を用いて35〜65フィート(約10〜20メートル)の高さの壁を作るとなると、その費用はフェンスの設置費用よりも倍増することは明らかです。



壁の建設費用を想定するに当たり、長さは国境の約半分である全長1000マイル(約1600km)、高さは想定される35〜65フィートの中間である50フィート(約15メートル)とします。この時、スケール感を考えると、構造上、壁は地中に最低でも15フィート(約4.6メートル)は伸びている必要があるとのこと。また、壁が地中に15フィート伸びていれば地面を掘って壁の下を通ろうとする不法入国者を防ぐことにもつながる模様。加えて、高さ50フィートの壁を安定させ、十分に頑丈なものにするには壁の厚みが1フィート(約30cm)は必要になるそうです。

というわけで、全長1000マイル(約1600km)、高さ50フィート(地中に埋まっている分も含めると約20メートル)、厚み30cmの壁を建設する際に必要となる素材のコンクリート・鋼鉄との費用および、壁を実際に建設する際の労働コストを計算すると以下のとおりになります。

・コンクリート

全長約1600km、高さは地中に張り巡らされる分も考慮すると約20メートル、厚み30cmなので、単純計算で約970万立方メートルのコンクリートが必要となります。コンクリートの費用は1立方メートル当り900ドル(約10万円)なので、壁全体で90億ドル(約1兆円)程の費用が必要となります。

・鋼鉄

壁の基礎となる鉄筋の量は、使用するコンクリート量の約3%になります。そうなると、壁全体で鉄筋の質量は23億キログラムとなる計算。鋼鉄は1キログラム当り2ドル(約230円)なので、壁を作る際に使用する鋼鉄の材料費は46億ドル(約5270億円)となります。

・労働コスト

とある構造技術者いわく、「公道や他の巨大建造物をアメリカで建設する場合、全コストは材料費の2〜3倍になる」とのこと。これは過去の巨大建造物の建設事例や、イスラエルのヨルダン川西岸地区にアメリカが建設した巨大な壁にも当てはまるとのこと。というわけで、メキシコ国境に建設される壁でも同じように計算すると、労働コストは材料費と同じもしくは2倍の136億〜270億ドル(約1兆5500億〜3兆円)程度になると考えられます。



By Tim Green

つまり、壁建設に必要なコストは270億ドルから400億ドル(約4兆5800億円)になると推定されています。