田中将大投手はかつて時差ボケの悩みを明かしていた(写真は2016年12月撮影)

写真拡大

米大リーグのチームは、選手の「時差ボケ」により試合の勝率が落ちるとの分析結果が発表された。移動による疲労というより、あくまで時差による悪影響なのだという。

日本人大リーガーで、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手がかつて、時差ボケの悩みをテレビ番組で話していた。

20年間の4万6535試合を分析

分析を行ったのは米ノースウエスタン大学のラヴィ・アラダ博士で、2017年1月23日、学術雑誌「米国科学アカデミー紀要」の電子版に論文が掲載された。

論文によると、アラダ博士を中心とする研究チームは、1992〜2011年に行われた大リーグ4万6535試合を分析した。全チームのホームゲームの勝率は平均で53.9%だったが、東に移動して2時間以上のプラスの時差が生じた後に行ったホームゲームに限ると、50.4%に下がっていた。西に移動して2時間以上のマイナスの時差が生じた後に行ったホームゲームに限ると51.9%だった。米国内では、東海岸と西海岸では3時間の時差がある。

アウェイゲームの勝率を見ると、全体では46.1%だったが、移動する方向によって数字に変化が現れた。東に移動して2時間以上のプラスの時差が生じた後の勝率は43.9%、西に移動して2時間以上のマイナスの時差が生じた後の場合は45.1%だった。

一般に、西向きよりも東向きに移動する方が、時差ボケがつらいと感じられる。この点は、早稲田大学スポーツ科学学術院の内田直(すなお)教授が11年3月22日に「WASEDA ONLINE」に寄せたコラムの中で指摘している。

アラダ博士は前出の論文について、ノースウエスタン大のウェブサイトの中で「東向きの移動と西向きの移動との間に差が見られたことから、移動に伴う疲労というよりも、時差ボケによって悪影響が出ることを示す裏付けになる」「私たちが発見した時差ボケの悪影響は小さいが重要なものだ」とコメントしている。

マー君「時差ボケが1週間は続く」

14年1月にヤンキースに移籍した田中投手は、15年1月7日放送の「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)にゲスト出演した際、シーズン中の移動で「なかなか時差ボケが治らない。1回時差ボケになると1週間は続く。どうすれば早く治るのか」との悩みを明かしていた。これに対し、生物学者で早稲田大学国際教養学部教授の池田清彦氏は「真面目で神経質な人は治りづらい。逆にちょっといい加減な人は時差ボケしづらい傾向がある」と述べている。田中投手は「(自分は)意外と神経質だ」と話していた。

02〜09年にセントルイス・カージナルスなど大リーグ3球団でプレーし、17年現在はオリックス・バファローズ二軍監督の田口壮さんが、11年12月24日更新のブログで自身の時差ボケ解消法について述べていた。11年10月に当時選手として所属していたオリックスを退団し、オファーを待ちながら日本で生活していた田口さんだが、ブログ更新時は家族でセントルイスを訪れていた。「久しぶりに太陽が顔を覗(のぞ)かせました。気温は氷点下でも、時差ボケ解消には陽を浴びるのが一番。そして、刺激的な出来事があるのも効果的です」とつづっている。

時差ボケ対策として参考になるのが、JOC(日本オリンピック委員会)が16年リオデジャネイロ五輪前、出場選手のために作成した「コンディショニングガイド」だ。ウェブサイトでも公開されている。そこには「アスリートにとっては時差の調整も重要な課題」だとして、「睡眠スケジュール」や、田口さんもあげていた「光」などをポイントにあげている。たとえば睡眠については、「出発前に生活リズムを遠征先の時刻へ2〜3時間シフトさせておく」「移動の飛行機内では、遠征先の夜間にあたる時間帯に眠る」。光については、遠征先の起床時刻に合わせ、高照度の照明器具を使って明るい光を浴びることで、体内時計を調整できる、としている。