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個人投資家の皆さんの多くは、まさにFXの知り合いのいない中で、孤軍奮闘されていると思います。自然と「連れを作らず」でやってらっしゃるのかもしれませんが、大事な言葉ですので、お伝えしておきたいと思います。

○頼り過ぎはNGだが、意見交換は大切

インターバンクなどでは、以前、銀行間での情報交換が盛んで、その情報交換で得た情報をもとに相場観を持つことが多かったといえます。しかし、それをやっていると、皆、同じ相場観になってしまい、その結果、ポジションも一方に偏るため、結局、相場は反転することになります。

そこで、「相場に連れを作らず」ということになりました。さらに、銀行は、最近では、コンプライアンス(法令順守)の観点からも、他行との情報交換は禁じられ、まさに連れのいない状態になっています。

しかし、個人投資家の間では、そうした規制はありません。私自身の意見としては、あまり仲間に頼り過ぎてもいけませんが、厳選して1人〜3人ぐらいの意見交換のできる仲間を持つことは、大事なことだと思います。

そのかわり、自分自身の確固とした相場観を持った上で交流することが大事です。私が、東京でドル/円のチーフをやっていた頃、まさにひとり、そういう仲間が他の銀行におり、それこそ、四六時中連絡を取り合っていました。ただし、あくまでも相場観の交換であり、誰が売った買った、あるいはどこには注文があるという話は一切しませんでした。

意見の交換は、本当に役に立ちました。なぜなら、まったく見方が違っていて、刺激されることが多かったからです。まさに、切磋琢磨したわけです。そういう意味での意見交換はぜひやるべきだと思います。

○情報交換を出来るのは個人投資家層だけ

ある年の5月から、日本の機関投資家である生保(生命保険会社)が外債投資を本格化させた時がありました。この時、事前に生保が買いで動くという情報が入ってきました。

当時の生保は、いったん買うと決めたら、それこそとことん買うマーケット参加者でしたので、彼らが動き出すと聞いた時は、これは、いち早く買おうと心に決め、早速買いました。そして、買ったポジションは、3カ月ぐらい持ち続けました。

毎朝、事情がよくわかっていない香港や、シンガポールにアジアの拠点がある米系銀行が、買い過ぎだとばかりに売ってきて、ロングだと思われる日本の銀行を投げさせようと、東京がオープンすると同時に売り込んできました。

しかし、日本の銀行のバックにいる生保の買いをまだまだ引かないという投資スタンスを意見交換から知っていましたので、米銀がいくら投げさせようとして売り込んできても、投げませんでした。そして、夕方になると、米銀が呼んできて、損切り的に毎日買っていきました。

このエピソードから申し上げたいことは、どこにオーダーがあってとか、どこにロスカットがあっていう情報交換ではなく、今の生保のスタンスや、香港・シンガポールの米系銀行の考え方といったことがわかれば、どういうポジションをどの通貨ペアでも持つことが最適かは、自ずとわかってくるということです。

こういう意味での情報交換は、大変有意義です。先にも申し上げた通り、銀行はもうこうしたこともできなくなっています。従って、情報交換をやれるのは、個人投資家層だけですので、どんな形でもいいですから、意見交換の場を持つべきではないかと思います。

ただ、繰り返しにはなりますが、誰が買った、誰が売った、どこそこに売りオーダーがあるといった情報ではなく、相場の背景がどうなっているから、今後の相場はどうなるといった部分に限るべきかと思います。

最終的に、ポジションを持つのは、自己判断で行うべきです。つるんでしまってはいけません。このように、「相場に連れをつくらず」とは、字面通りの付和雷同ではいけませんが、意見を交換するという意味では、大変重要だと思います。

※画像は本文とは関係ありません。

○執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら。

(ストラテジスト 水上紀行)