【今さら聞けない】スポーツカーってどういうクルマ?

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爽快感があれば物理的な速さは必ずしも必要ではない

「スポーツ」は、ラテン語のportare(ポルターレ=ものを運ぶ・移動する)に由来し、11世紀ごろ英語で「気晴らし」や「楽しみ」「遊ぶ」を意味するようになったと言われている。

語源的に考えると、クルマはすべて人や物を運び、移動するツールなので、すべて「スポーツカー」とも言えなくもないし、もっと意地悪にいえば、スポーツするのはクルマではなく、人間という言い方もできる。

しかし、一般的には、運転自体を「楽しむ」クルマ、目的地に移動すること以上に、運転すること自体が目的になり得るクルマ=スポーツカーと考えればいいのではないだろうか。そうしたスポーツカーの要素として欠かせないのは、およそ下記の6点にまとめられる。

軽快な走り

∪戸的に違和感のない特性

ワクワク・ドキドキさせる味付け

い劼般椶妊好檗璽張ーとわかるスタイリング

ソ衢しているだけでもうれしいクルマ、ワインディングやサーキット以外でもドライブが楽しいクルマ

ζ珊圓人、すれ違うクルマにも、一目置かれ、ある種の喜びを与えられるクルマ

まず,痢峽擴な走り」を実現するには、車体が軽くて、重心が低いことが重要。どんなにハイパフォーマンスなクルマでも、車重が1500圓鯆兇┐襪函軽快感は望めない……。また背が高いクルマも重心が高くなるので、スポーツカーとはいえない。

次に△痢崟戸的に違和感のない特性」。これも非常に難しい。気持ちのいい走り、ドライビングプレジャーの高いクルマの理想として、よく「人馬一体の走り」というフレーズが使われるが、クルマに限らず、人と道具の関係は、どこまでいっても人間側がその道具の「事情」を尊重し、クルマやタイヤがどう動きたがっているか、に耳を傾け従うしかない。

そうした視点で考えると、ドライビングプレジャーの高いクルマというのは、クルマの「事情」に自分を合わせることが苦にならないクルマ、もっといえば、クルマの「事情」を尊重していることが気にならない(気がつかない)クルマということになってくる。

逆にいえば、どんなにサーキットのラップタイムが速くても、タイヤへの依存度が高く、電子制御がバリバリで、車体が重くて、重量バランスやディメンションがいい加減なクルマは、スポーツカーとはいえないということ。

の「ワクワク・ドキドキ」も難しいが、基本的に自分の運転操作にクルマが素直に反応し、クルマと対話が楽しめること。また、コンマ1秒後の挙動がより正確に予測できることも、ドライビングプレジャーを左右する大事なファクターといえるだろう。

真のスポーツカーは公道で流して走っても楽しめる

い離好織ぅ螢鵐阿篭砲瓩峠斗廖4靄椶魯蹇次ワイド。目立てばいいわけではないが、存在感と美しさは欠かせない。機能性のある美しさから、誰もが「速そう」と、パフォーマンスが予測できるカタチが欲しい。

イ虜廼瓩離魯ぅ僖侫ーマンスカーに目立つのが、サーキットでバリバリ走らないと、快感が得られないクルマ。真のスポーツカーなら、渋滞は別として、ストリートを流れに乗って走るだけで、「楽しいな〜」と思えないと! また、眺めているだけでも幸せな気分になれるのが理想的だ。

Δ蓮↓ 銑イ泙任両魴錣揃っていれば、自然にクリアしているはず。クルマのスペック、年式、メーカー名、価格が一切わからなくても、「なんかいいな」「すごいな」と思ってもらえるクルマがスポーツカー。

幼稚園や保育園に乗りつけたとき、園児がまったく関心を示さないようなクルマは、スポーツカーとはいえない(もちろん、子どもウケすればいいというものでもないが)。

スポーツカーはレーシングカーとは違い必ずしも速さが重要ではない

ここまで説明すればわかるとおり、じつはスポーツカーとレーシングカーは、思っているほど共通項はない。

第一に、スポーツカーはレーシングカーと違って、物理的な速さは必ずしも必要ではないのだ。例えばロードスターなどは、131馬力しかないが、スポーツカーとしての純度は極めて高い。スポーツカーは、速くなくても「速そう」であればOKで、軽快感が命。逆にいえば、最高速が300km/h以上でも、筑波サーキットのタイムが1分以内でも、動きが鈍ければアウト。

以下同様に、生理的な違和感があっても、まったくワクワク・ドキドキしなくても、どんなにカッコ悪くても、レーシングカーはライバルよりコンマ1秒でも速ければ、文句なしの名車と言える。シーズン終了後、たった1年でレーシングカーとしての価値がなくなっても、まったく問題がないというのがレーシングカー。

それに対し、ホンモノのスポーツカーは、製造中止から10年、20年たっても愛され続けるクルマがほとんど。そういう意味で、スポーツカーの設計は、自動車エンジニアとして、もっとも難しい仕事のひとつで、同時に一番設計し甲斐のあるクルマに違いない。