金正恩氏

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韓国の聯合ニュースが29日、東南アジア諸国連合(ASEAN)の内部事情に詳しい消息筋の話として報じたところによると、北朝鮮の崔泰福(チェ・テボク)最高人民会議(国会に相当)議長が2〜3月に東南アジア各国の歴訪を計画したが、相手国から拒否されてしまったという。

ベトナムで死闘

崔氏の歴訪が計画されたのは、ベトナムとラオス、インドネシアだ。いずれも北朝鮮の伝統的な友好国であり、報道が事実なら、金正恩党委員長はたいへんなショックを受けているはずだ。

とくにラオスの歴代国家主席は、シリアのバッシャール・アサド大統領、キューバのラウル・カストロ国家評議会議長と並び、正恩氏が誕生日のメッセージなどを公開的に送る数少ない相手である。

またベトナムと北朝鮮は、かつてともに米軍と戦った仲だ。ベトナム戦争当時、正恩氏の祖父である故金日成主席が空軍部隊を北ベトナムに送り、米軍戦闘機と死闘を演じさせたのだ。

(参考記事:米軍機26機を撃墜した「北の戦闘機乗りたち」

その後の一時期、北朝鮮とベトナムは疎遠になったこともあったが、近年は再び友好関係を結び、軍高官の相互訪問なども行われてきた。

北朝鮮と、ベトナムと同様の関係を結んできた国にエジプトとシリアがある。

だが、エジプトで北朝鮮との友好協力を主導してきたムバラク元大統領は政変で失脚。以前ほど強固な関係ではなくなっていると見られる。一方、シリアと北朝鮮の関係は今なお近いままだが、激しい内戦の続いてきたシリアが、北朝鮮のためにできることは少ない。

東南アジア各国が崔氏の受け入れを拒んだのが事実なら、その理由は核・ミサイル開発を受けた対北制裁に抵触するのを警戒しているためだろう。とくに、米国が独自の対北制裁として、北朝鮮と戦略物資の取引などを行った第三国の個人や団体なども制裁対象に含めることのできる「セカンダリーボイコット」(第三者制裁)を採用していることが、関係各国をナーバスにしているのかもしれない。

日本では昔から、「北朝鮮は孤立している」との報道がなされてきたが、実際には北朝鮮も、独自の外交関係を様々な国と結んできた。しかしそれが出来たのは、かつての東西冷戦構造があったからだとも言える。

そのような枠組みがなくなった今、正恩氏にどれだけのことができるのか。国家指導者としての資質が問われることになる。