満員電車に乗るのは、本来は避けたいはずなのですが・・・。(写真はイメージ)


 サラリーマンを辞めて最初に感動するのが、「もうこれで、満員電車に乗らなくていい」ということです。今思えば、会社を辞める決断をしたのは通勤電車の中だったような気もします。なぜ自分は今、満員電車に押し込まれているんだろうな・・・と突き詰めて考えてしまったのかもしれません。

私が満員電車に乗る理由

 ただし、他の起業家からは「信じられない」とよく言われるのですが、私は会社を辞めて起業家となった今でも、普通に満員電車で通勤をしています。オフィスが東京の池袋にあり、自宅は埼玉なので埼京線(混雑が最強!)で毎朝「通勤」して、毎晩帰っています。時間をずらすこともせず、ラッシュアワーど真ん中のこともあります。

 もちろん、平日の朝から自宅近くのカフェやジムに行ったり、思い付いたように妻とランチを食べたりすることもあります。逆に、土日や祝日でもどっぷりと池袋で仕事をすることも多いです。行動は同じでも、「強制されている」のではなく「選べる」ということが大切であり、両者には大きな差があります。

 時間をずらすだけで電車は空くのですが、私があえて満員電車に乗るのは、半分は規律を持った生活をするためですが、残り半分は自分への義務です。あの頃の気持ちを忘れないように、満員電車に乗るんです。「みんなどんな気持ちで、こんなにもみくちゃにされているのかな」なんてことを、考えたりしているんです。ブログのネタは満員電車の中で生まれることが多いような気もしますしね。

先日、満員電車で考えたこと

 いたずらなのか緊急事態なのかは分かりませんが、先日も非常停止ボタンが押され、それによって「車両点検が必要なところに電車が止まった」というよく分からない理由で30分くらい電車が遅れました。

 その日はたまたま午前中のアポイントが入っていなかったのですが、「このすし詰め状態の人たち全員が遅刻か。世の中は大損害だな」なんて考えたりしていました。それでもあまり、車内には気にした様子の人もいなかったので、実は大した問題ではないのかもしれません。サラリーマンの頃の私なら、心中穏やかではなかったはずですけどね。

「突き詰めて考えない方が良い」世界

 思うに私は、サラリーマンを続けるには真面目すぎたのかもしれません。台風の日はいつもより2時間も早く家を出て、膝まで水に浸かりながら会社に行きましたし、病気で休んだこともほとんどありません。律儀に土日に熱を出して倒れ、月曜の朝にはふらふらになりながら出社していました。それが当たり前だと思っていたんです。

 まあ今思えば、その真面目さは何の意味もなかったですね。変な忠誠心とかやる気など持たずに、ポイントを押さえて要領よく振る舞える「不真面目な人」の方がサラリーマンには向いていると思います。上司からの評判こそ、最適化するべきポイントです。良いとか悪いとかではなくて、そういうシステムなんですよね。

「この仕事は、世の中の役に立っているのだろうか」とか「自分の人生にとって今のキャリアは、どういう意味があるのだろうか」なんて突き詰めて考えてしまう私のような真面目すぎるタイプは、起業の世界の方が楽です。こっちは全ての責任を背負って、やりたいことややるべきことをやるだけの、とてもシンプルな世界です。

サザエさん症候群と五月病

 日曜の夕方、サザエさんが始まると明日の仕事について考えてしまい憂鬱になる人のことを「サザエさん症候群」と言います。正月休み明けや連休明けなどに、出社が憂鬱になったりもしますよね。環境の変化も原因と言われていますが、これは新入社員に限らないでしょう。仕事がイヤで辛くて鬱病になってしまう人は少なくありません。

 正確には仕事が辛いというよりは、職場の上司や同僚との人間関係や、仕事を強制されるという構造だったり、あるいは満員電車といった、仕事の周辺にあるものがイヤなのかもしれません。いずれにしても、それで病気にまでなってしまうのは、それらを「自分では選べない」というストレスに端を発しているのだと私は思います。

人と同じ行動をとるから、満員電車になる

 私から見て、世の中の多くの人は、「自分で選べない」ということを選んでいるように見えます。自分で選ぶと責任が伴いますから、誰かが作ったシステムに乗って、誰かの命令に従って生きていたい。みんなと同じように満員電車に乗って、決められた時間にみんなと一緒に食事をしたい。それが安心できるからですね。

 これは「自由からの逃走」なんだと思います。人は自由に耐えられないんです。イヤだイヤだと言いながら、みんなと一緒だと責任を取らなくていいから、落ち着くんですね。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というわけです。それで、みんなが同じ時間に同じ行動を取るから、電車も食堂も一定の時間だけ、ハンコで押したようにいつも満員になります。

 自由で好奇心にあふれた人生を生きようと思えば、犠牲になるのはこの「安心」です。それと引き換えに、自分の頭で考える権利を取り戻す。起業というのは、そういう選択なのかなと。そんなことを満員電車の中で考えましたよ、というお話でした。

 それでは、また。人生計画で夢を目標に変えて実現する、シナジーブレインの安田修でした。

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筆者:安田 修