「Amazon HP」より

写真拡大

 アマゾンの攻勢が止まらない。今度は、「Amazon Launchpad(アマゾン・ローンチパッド)」というサービスで、スタートアップ企業の発掘や育成に乗り出す。ベンチャーキャピタルなど日本のスタートアップ支援制度が未成熟な点を突いて、ビジネス機会を探るアマゾンのしたたかな狙いが見えてくる。

 ローンチパッドは、アマゾンが新たに開設したスタートアップのストアで、従来販売ルートの確保に苦戦していた起業後間もない会社の先進的な製品を専門的に扱う。本サイトで扱われるのは、インターネットを通じて不特定多数の人から出資を募った企業の新製品に限定される。

 アマゾンはすでに北米や欧州など8カ国の国々で同様のサービスを展開しており、合計で4,000種類以上の商品販売の実績を持つ。日本では、国内外の企業から出品された250種類ほどの製品でスタートする。認知度が低く販路開拓に苦戦するスタートアップが、こうしたアマゾンの支援を得られれば、成長のきっかけとなりブランド力を高めることが可能となる。

 出品される製品には、オリジナル性が高く興味深いものが多い。耳に触れないで音楽が楽しめる点から長時間使い続けても耳が痛くならないヘッドホン「VIE SHAIR(ヴィー・シェア)」をはじめとして、従来には見られない新しい機能や使い方ができる製品が目白押しである。こうしたいまだに市場に出回っていない新製品を、ローンチパッドでは、安心して購入できるというわけである。

 実際スタートアップやクラウドファンディングなど新商品の紹介サイトで、魅力的な製品に出くわしても、販売実績のない企業や海外の企業であったりすると、代金を支払っても実際に届くかどうか不安になり、注文するのを躊躇するケースはありがちだ。ローンチパッドでは、まさにこうした消費者の不安を取り除いてくれる。

 アマゾンはこれまで、「サイトに行けば必ず欲しい製品が手に入る」「最安値で買える」「支払いの手間がかからない」「注文したらすぐ届く」「自分が今欲しい商品を推奨してくれる」などといった消費者目線からの要望のほとんどに、答えを出してきた。ワンクリックやレコメンデーション、豊富な品揃え、エブリデイロープライスといった、アマゾンが次から次へと繰り出す施策は、まさに消費者の購買意欲を妨げる障害を取り除き、購買行動を促進するものであった。

 今回のローンチパッドは、「アマゾンの品揃えに限界はない」といわんばかりである。アマゾンのしたたかさにも、際限はないようである。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)