WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス

 石川遼にとって、2017年の初戦であり、昨年の10月に始まった今季(2016−2017シーズン)では出場4試合目となるキャリアビルダー・チャレンジ(1月19日〜22日)が、カリフォルニア州ラキンタで開催された。石川は4日間通算7アンダー、50位タイで終えると、こう語った。

「(今年の初戦としては)まあまあより、ちょっと下かな(笑)」

 石川が続ける。

「(レギュラーシーズンが終わる)8月までの長いスパンでゴルフを見ている。(今大会では)新たなことに取り組みながら、しっかりゴルフができた。それは、よかったと思う」

 つまり石川は、結果には不満があるが、現状のプレーには手応えを得ることができた。とりわけ、現時点でのプレーに関しては、自ら十分に高い評価ができた、ということだろう。ゆえに、最終日のラウンドを終えたあとは、「もっとできたかな」と悔しさを口にしつつも、最終的には「いい方向に向かっている」と安堵した表情を見せた。

 そこで、現在の石川について、今大会のプレーを振り返りながら、いくつかのポイントに分けて検証してみたい。

◆ドライバーショット
 この4日間で、石川本人の評価が最も高かったのは、ドライバーだった。初日、2日目においては、「自分で言うのもなんだけど、ありえないほど真っ直ぐ飛んでいった」というほどの好調ぶり。実際、ほとんどフェアウェーを外すことがなく、ティーショットでは心地いい快音を響かせていた。

 3日目は、出だしの1打目から右に大きく曲げてOB。前日までには見られなかった大きな乱れが顔をのぞかせたが、後半からは持ち直して、最終日には2日目までの好感触を取り戻した。これは、石川にとって大きな収穫となる。

 もともと石川は、ドライバーで飛距離を得てゴルフを組み立てるタイプだが、その精度が決して高かったわけではない。ゆえに、ドライバーの好調ぶりには、「(セカンドを)フェアウェーから打てると、こんなにも楽なのか。ゴルフの景色が変わる」と唸るほどだった。

「(ドライバーの乱れが)最終日に修正できたのは、何が(原因で)起こっているのか、自分でわかったから。本来であれば、この安定感を4日間(維持)できないといけない。今週は3日間しかできなかったけど、一気に4日間じゃなくてもいいから、ちょっとずつ精度を上げていけたらいい」

 まだ不安定な要素を残したものの、ドライバーの好調を維持できれば、今後戦える位置が大きく変わっていく可能性は十分にある。

◆アイアンショット
 もうひとつ、石川が課題として取り組んでいたアイアンショットでも、多大な成果が見られた。石川自身、かなりの手応えを感じている。

「他の選手に比べても、ボールが落ちて止まるまでが短く感じた。アイアンのスピン量が増えて、グリーンの止まりがよくなった。シビアなピンポジに対しても、ソフトに上から落とすことができた」

 このショットこそ、距離が長く、グリーンが硬くて厳しいセッティングの米ツアーで必要とされるもの。それをモノにできたのは大きい。

 象徴的なショットは、最終日に見られた。6番パー3、ピンまでの距離は230ヤード。グリーン右には大きな池があって、右エッジから5mのところにカップが切られた、非常にタフなホールだった。

 そこで石川が見せたのは、3番アイアンでの完璧なショットだった。ピン左からフェードがかかって、右3mへ見事にオン。石川は「あれは、もう2〜3m左に打ち出したかった。まだ昔のドローの名残が出てしまう」と、まずは反省の弁を口にしたが、許容範囲の結果を出したショットには好感触を得ていた。

◆体のケア
 昨季の2月、腰の痛みを訴えて米ツアーの戦列から離れた石川は、今季は公傷制度が認められて戦っている。

 そうした状況の中、安心してツアーを戦うために石川が考えたのは、「スタートの4時間前に起床すること。そして、これまで10分、20分で終えていたウォーミングアップに、1時間の時間を費やすこと」だ。これはこの年明け初戦から導入したが、その効果を石川が語る。

「まず、ホテルの部屋とジムで体を温める。そこで(体全体が)しっかりとほぐれているから、練習場でボールを打ち始めるときには、体の動きが違う」

 早朝スタートのときなどは、起床時間が早くて大変ではないかと思ったが、「朝は苦手なタイプじゃないんで、意外と大丈夫です」と言って、石川は笑った。

 目指すのは"自己治癒力"。体から出される"信号"を抜かりなく聞き取って、それに対して敏感に対処し、ケガを未然に防ぐことだという。それができれば、今後は安心してツアーを戦うことができるはずだ。

 今週は、連戦でファーマーズ・インシュランス・オープン(1月26日〜29日/カリフォルニア州)に臨む石川。同大会には、盟友の松山英樹に、話題のタイガー・ウッズ(予選落ち)も出場している。

 体の強さは気持ちの強さへとつながるもの――。石川にとって、年明け2戦目。注目度が増す大会で、好調なショットが1日でも多く続くことを期待したい。

 心配されるのは、体のケアである。完全に休んで治療に専念した結果、今は痛みもなく、完治した状態で戦っているが、戦列を離れた当初、石川はバックスイングさえできなかった。再発の恐れを考えれば、石川自身、ケアについて神経質になるのは当然だろう。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN