第34回全農日本カーリング選手権大会が1月30日から2月5日まで、長野県の軽井沢アイスパークで開催される。

 昨年2月に青森県で行なわれた前回大会では、ロコ・ソラーレ(以下、LS)北見が初優勝を果たし、3月にはカナダ・スウィフトカレントで開催された世界選手権に日本代表として出場。若いチームらしい攻撃的な戦術と、高いスイープ力を武器に快進撃を見せ、日本カーリング史上初となる銀メダルを獲得した。

 その結果により、日本は2018年平昌五輪への出場が確実視されており(※)、残るは国内の代表選考のみ。そして今大会が、まさにその五輪代表チームを決定する舞台となるのだ。
※平昌五輪の出場権は、同五輪から逆算して行なわれる過去2回の世界選手権、すなわち2016年スウィフトカレント大会、2017年北京大会の、両大会の結果によって振り分けられるポイントで決定される。2016年大会で準優勝の日本代表はすでに12ポイントを獲得。同じレギュレーションで競われたソチ五輪のときは、出場に必要なポイントは9ポイントだった。そのため、日本の出場の可能性は限りなく高いとされている。

 すでに日本カーリング協会は、ディフェンディングチャンピオンのLS北見が連覇を達成すれば、同チームを五輪代表に内定。違うチームが優勝した場合は、LS北見との五輪代表決定戦開催(会場と時期は未定)の旨を発表している。つまり、LS北見以外のチームにとっては、この日本選手権が五輪出場への最後のチャンスとなる。例年以上に気持ちの入ったゲームが見られることは間違いないだろう。

 連覇と五輪代表の座を狙う女王・LS北見だが、「世界選手権銀メダルチーム」という肩書きで迎えた今季(2016−2017年シーズン)は、決して順調と言えるシーズンではなかった。

 7月に北海道の北見市常呂町で開催されたアドヴィックスカップでは8強止まり、続く8月のどうぎんカーリングクラシック(北海道札幌市)では4位に終わり、国内カップ戦で表彰台を逃す。9月から1カ月半かけて遠征したカナダでは、5つのボンスピル(カーリングの試合あるいは大会)に参加したが、準優勝1回という結果に終わった。ワールドカーリングツアーにも数えられる大会で、しかも世界で最もレベルが高いと言われるカナダの地ではあるが、世界2位のチームとしては、物足りない結果と言わざるを得ない。

 さらに、11月に韓国の義城で開催されたパシフィック・アジア選手権(以下、PACC)では、中国、韓国に続いて3位。2017年の世界選手権(3月/中国・北京)の出場権を逃してしまう。

 銀メダルを獲得した2016年世界選手権では、平均85%超えを記録したショット率も、PACC準決勝の中国戦では64%にとどまった。3位決定戦では、昨季はフィフスとしてチームを陰で支えてきた主将の本橋麻里を起用するなど、変化を模索し始めた印象が残った。

 昨季は、吉田夕梨花−鈴木夕湖−吉田知那美−藤澤五月という不動のオーダーだったが、PACCや続く12月の軽井沢国際(長野県)では、本橋が「ラインナップもチャレンジしました」、吉田知が「何かを変えなければ、取り入れなければ、という気持ちはある」とそれぞれが語ったように、本橋と吉田知を入れ替える布陣、あるいは吉田夕−吉田知−本橋−藤澤という並びも試した。

 その後、年が明けてのカナダ合宿でもチャレンジは続き、1月中旬にアメリカ・ラスベガスで開催されたコンチネンタルカップでは結局、吉田夕−吉田知−本橋−藤澤というオーダーで氷に乗ったという。今回の日本選手権でもその並びでエントリーしているが、新布陣で初優勝を果たした前回のようにハマッてくれるかは未知数だ。まずは1月30日の初戦、帯広畜産大学戦でのラインナップに注目が集まる。

 LS北見に対抗する一番手であり、「地力の高さは国内一」と多くの関係者が評する北海道銀行フォルティウスも、今季はラインナップの変更がありそうだ。

 スキップの小笠原歩(旧姓・小野寺)とともにソルトレイク、トリノ、ソチと、3度の五輪に出場している船山弓枝(旧姓・林)が、昨季はLS北見の本橋同様、フィフスとしてコーチボックスからチームを見守っていたが、この秋の欧州遠征からサードとしてアイスに戻った。

 近江谷杏菜−小野寺佳歩−吉村紗也香−小笠原というのが昨季の布陣だったが、今季はここまで、近江谷−小野寺−船山−小笠原、あるいは近江谷−吉村−船山−小笠原といったラインナップを試してきた。

 後者で臨んだ日本選手権の予選にあたる全道選手権(※昨年の日本選手権覇者であるLS北見は予選免除)では、決勝までの全9戦で対戦相手からコンシード(全エンド消化前に、相手チームの戦術や技術を認め、敗北を認める宣言)を引き出す圧巻の勝負強さを見せて、国内最激戦区の北海道ブロックを完全優勝して抜けた。

 小笠原の「誰がどこのポジションに入ってもできるチームだと自覚している」というコメントからは、日本選手権でのメンバー入れ替えの可能性と、チーム力のさらなる底上げを図ろうとする意識の高さが感じられる。

 昨年の大会では、予選8戦を全勝して1位通過を果たしながら、最終成績は3位という不本意な結果に終わった。だが、小笠原は静かに、しかし強く、今大会でのリベンジを期している。

「あの3位から本当に多くのことを学んだ。負けたから見えた世界もある。(あれからチームが)ものすごく成長したことを実感しているので、私たちも(日本選手権が)楽しみです」

 予選リーグは、このLS北見と北海道銀行の2チームを軸に展開していくだろうが、もしそこに風穴をあけるとすれば、昨年準優勝の富士急(チームフジヤマ)ではないか。2015年大会で4位に入賞したヒト・コミュニケーションズ(現在は活動休止中)から、石垣真央が加入してチーム力のアップを図った。星の取りこぼしがなければ、間違いなく4強に残る実力を持つ。

 ダークホースになりそうなのは、地元軽井沢の中部電力だ。昨季から、1998年長野五輪(男子カーリング)で金メダルを獲得したスイス代表のスキップ、パトリック・ヒューリマンの妻であり、自身もオリンピアンだったジャネット・ヒューリマンが指導。彼女のもとで地道に強化を重ね、カナダ遠征では北海道銀行から白星を奪うなど、成長を示すゲームも見られた。

「今季は夏場にしっかり身体も作れた」とスキップの村松千秋が語るように、長丁場も歓迎の構えだ。日本選手権の前週に中部選手権を終えて出場権を得たばかりで、試合勘を維持したまま本番を迎えられるのも強み。ホームリンクの利を生かして躍進を果たせるのか、地元ファンの期待も大きい。

 ここで五輪代表チームが決定するのか、はたまた代表決定戦が開催されることになるのか。どちらにしてもソチ五輪以降、それぞれの道で強化を続けてきた各チームの集大成が問われる1週間となる。

竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro