日本勢が通算成績3勝1敗で優勝。横浜の中町と鹿島の曽ヶ端がシャーレを受け取った。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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 2月のタイは乾季にあり、日中は30℃近くまで気温が上がるものの、特有のまとわりつくような湿気はなく、朝晩は非常に過ごし易い。
 
 日泰修好130周年に当たる今年、タイ・バンコクで、両国リーグの強豪4クラブが集い「2017Jリーグ アジアチャレンジinタイ インターリーグカップ」なる大会が行なわれた。
 
 Jリーグからは鹿島アントラーズ(以下、鹿島)と横浜F・マリノス(以下、横浜)が、またタイリーグからは昨季リーグ2位のバンコク・ユナイテッドと10位のスパンブリーFCが参加した。
 
「レアルに善戦した鹿島が観られるぞ!」「あの名門横浜がやって来るんだ!」というタイフットボールファンの期待の声も聞こえてくるなかで、会場はタイサッカーの聖地・ラジャマンガラ競技場、大会方式はクラブ間競争ではない、Jリーグとタイリーグ間の対抗戦で行なわれる仕組みに心を擽られ、会場へと足を運んだ。
 
 試合開始前、両国国歌が流れる会場で感じたことを幾つか挙げたい。
 
 まずは日本人選手がこの気候環境でのプレーを楽しんでいるように感じたこと。沢山のチームが集まりマッチメイクも容易い九州や沖縄でのシーズン前キャンプも魅力的だが、より温暖なこの土地で長いシーズンを乗り越えるための身体作りを始めることの意味は大きい。現に横浜は今大会前にバンコクから程近い避暑地ホアヒンでキャンプを張り、充実した施設で良い準備ができていたことは試合を通して感じられた。
 
 またタイトルを懸けた「真剣勝負の場」が新設された価値は計り知れない。Jクラブにもタイクラブにも、ACLで対局するレベルのチームとこの時期に試合ができたことは大きなプラスだろう。
 
 毎年この時期にアジア全土から多くのチームがタイへキャンプにやって来るのだが、力関係から考えれば彼らには物足りなかった事実は否めない。特にバンコク・ユナイテッドにとっては、数日後に控えるACLプレーオフ予備予選へ向けた恰好の試金石となったはずだ。そのあたりは、バンコク・ユナイテッドのマノ・ポルキン監督の試合後のコメントからも窺えた。
 しかし残念なこともあった。観客の少なさだ。“大箱”であるラジャマンガラ開催だったために、余計にその事実が際立っていた。多くの日本人が住む首都バンコクでの開催にもかかわらず、昨年9月に同じ場所で行なわれたワールドカップ最終予選、タイ代表対日本代表戦の活気を目の当たりにしている筆者には実に淋しく思えてしまった。
 
 大会が無事に終了した翌日、今大会の立ち上げに尽力されたJリーグ国際部の大矢丈之氏にその辺りを踏まえて話しを聞かせていただいた。
 
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―――今大会が開催されるに至った経緯をお聞かせいただけますか?
 
「2012年からアジア戦略を進めてきたなかで、リーグやクラブ間の提携、アジア人選手の招聘、育成年代や指導者の交流を行なってきました。そして次のステップを見据えた時に海外から放映権を買っていただけるようなリーグとしての価値を高めることもひとつだと考えています。そうしたなかで私どものメインツールである“試合”をアジアのフットボールファンにも肌で感じていただきたいとの思いから開催に至りました」
 
―――大会の立ち上げに尽力されたと聞いています。ゼロベースからの海外主催は大変だったのではないですか?
 
「企画プレゼンの段階で、Jリーグとしてまずはやってみようという認識共有が取れた上で、海外向け放映権の契約更新が2020年になるので、そのタイミングに向けて継続的な開催を柱にリーグブランドの価値を今まで以上に高めていこうという目標設定を持って進めました。ここ2、3年で東南アジア人選手がJリーグでプレーしてくれる機会に恵まれましたが、彼らが自国へ帰ってしまうと注目度が低下してしまう現状も実感として持っているので、並行して今回のような大会を通じて海外でJリーグブランドを伝えていく活動を継続していこうということなんです」