子育てでモメる夫婦…“どっちが大変か”を競う最悪スパイラル

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 自宅で妻を殺害したとして、殺人容疑で講談社の編集次長、朴鐘顕容疑者が1月10日に逮捕されました。この事件をフックとして、前回は、育児をがんばるほど追い詰められていく夫婦の問題について考えました。

 では、夫はどのような悩みを抱えているのでしょうか。ママの悩みはわかっても、パパの悩みは女性からわかりにくもの。そこで、前回に続き、育児・教育ジャーナリスト、心理カウンセラーで「パパの悩み相談横丁」管理人のおおたとしまささんに話を聞きました。

◆「オレはサンドバッグじゃない…」

――私事で恐縮なのですが、私にも1歳の娘がいて毎日バタバタと子育てをしています。先日、夫のパソコンを開いたら検索窓に「妻 パワハラ」という文字があって愕然としました。夫はそこまで私に追い詰められていたんだなと。

おおた「僕のところに相談にくるパパからの悩みも、実は半分以上が夫婦関係に関するものなんですよ」

――そうなんですか! どういう悩みが多いのでしょうか。

おおた「相談内容は主に3つに分けられます。

一つ目は『オレはサンドバッグじゃない、もう限界だ』という声です。つまり、育児ストレスがたまった妻のフォローが大変だと、パパ達が悩んでいるんです。

 妻は日々の育児ストレスや夫への不満を、夫にぶつけます。夫もそのストレスは理解しているから、受け止めるつもりでいるのですが、毎日毎日続くと耐えきれなくなってくる。オレはサンドバッグじゃない。もう限界だと」

――!!! 私は以前、夫からリアルに「オレはサンドバッグじゃない!」と言われたことが…。

おおた「サンドバッグも打ち過ぎればボロボロになって中の生地が出てきますからね」

◆不毛な“どちらが大変か競争”

おおた「二つ目は、『やってもやっても妻に認められない』という悩みですね。一般的な家庭では、妻のほうが育児時間は長いですから、夫が多少やっても『私は毎日やってるんだから、そんなのやって当然』となる。

 夫としてはがんばって育児をしても妻にとっては当たり前、さらに言えば出来ていない部分にばかり目がいってダメ出しされてしまうのです」

――まさに、イクメンであればあるほど夫が追いつめられていくわけですね。

おおた「そこで夫が『俺だってがんばっている』と言ってしまえば、妻も『私だって毎日必死に育児をしている』と主張して、爐匹舛蕕大変か競争瓩箸いι毀咾柄茲い砲覆蠅泙后

 最悪なのは、“どちらが大変か”の白黒をつけるために、疲れていることを誇張して言ったり、必要以上に忙しいフリをするという、謎の争いに発展することです。こんなことで勝った負けたとケンカしても、何の解決の糸口もありません」

◆育児というより「夫婦関係の問題」

――我が家も、その争いを何度もしたことがあります…。

おおた「さらに3つ目は夫婦間での意見の相違です。どの子供服を買うかというレベルから、中学受験はするのか、塾はSAPIXか日能研か、といったレベルまで様々です。夫がイクメンで正論を言いたがるタイプだと、ますます険悪になりますね」

――いずれも育児というよりも夫婦の問題ですね。

おおた「そうなんです。育児をするうえで夫婦関係はとても大切です。そこで大事なのは、夫婦が父親であること・母親であることに甘んじてはいけないということです」

――というのは?

おおた「夫婦間に絆や信頼関係がなければ、協力して育児はできませんよね。信頼関係がないから、ぶつかったときにどちらが正しいか、どちらが大変かという争いになってしまうのです。

 妻と夫が単なる同居人になってしまうとダメ。母親である前に妻であること、父親である前に夫であることを意識する必要があるんです」

――なるほど…。そうは言っても子育て真っ最中で時間も心の余裕もないなかで、夫婦の絆を深めるのはなかなか難しいような。

おおた「僕は相談者に対して、意識して夫婦の関係性を作り直す方法を提案しているんです」

 その具体的な解決策とは…。出産・育児を経て「パワハラ嫁」として夫との関係がややギクシャク(?)しているライターが、次回、まさに当事者としてアドバイスを聞きます。

【おおたとしまさ氏プロフィール】
1973年生まれ。現在14歳、11歳の2児の父。育児・教育ジャーナリスト、心理カウンセラーとして活動。著書は『ルポ父親たちの葛藤 仕事と家庭の両立は夢なのか』『大学付属校という選択』など多数

<TEXT/瀧戸詠未>