堅実女子のお悩みに、弁護士・柳原桑子先生が答える本連載。今回の相談者は、田中ゆりあさん(仮名・27歳・保険会社勤務)です。

「外資系のある保険会社に転職して1年になります。ガンガン営業をし、トップ営業マンとして実績を重ねています。

先日、大学の先輩が、ある建設会社の社長を紹介してもらいました。彼は40代で結婚している2代目社長です。私をひと目で気に入ったらしく、”この人はイケる”と確信。向うから食事に誘われたので、恵比寿の有名なフレンチで食事をごちそうになりました。

仕事の話をいろいろしてくれて、お互いに好意を持っていたようにも思います。2軒目に行くときに、”大口の契約をしてあげるから、今晩一緒にいない?”と言うようなことを遠回しに誘われ、その日のうちに男女関係になりました。

しかし、彼との食事の最中や飲んでいるときに、”この人はちょっと嘘つきかも”と思ったんです。その虫の知らせから、会話を途中から録音しています。結局、夜中まで一緒にいて、家に帰るときに、”来週、僕の会社においで”と言われました。

その翌週にアポをとろうと会社に電話しても、明らかに居留守を使われるようになりました。そして、携帯に電話しても、出ない。何度か電話するうちに、着信拒否をされました。

さらに、LINEもFacebookもブロックされました。私も怒り心頭になり、先日、その社長の会社の前で待ち伏せしていたら、”そんな約束をした覚えはない”と言われてしまいました。

私は契約がとれるから付き合ったのに、下の立場だからとバカにして、許せません。絶対に慰謝料を請求したいと思います。そのためにはどうしたらいいのでしょうか」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……!?

大口の保険契約をしてあげる、という条件で、40代の既婚の建設会社社長と男女関係を結んだ田中ゆりあさん(仮名・27歳・保険会社勤務)。しかし、約束は実行されず、慰謝料を請求したいと考えています。その質問に対する、柳原桑子先生の回答です。

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約束ごとを反故にされた場合、約束の存在を証明できるならば、相手と戦う余地があります。しかし、本件のように “男女の関係になったら、仕事の便宜をはかる”という契約は、法律的に公序良俗に反するので無効になります。したがって、法による救済を期待することはできません。

それどころか、あなたの場合、その社長が結婚していることを知りつつ、男女関係を結んでいるようです。事前にそのことを知りつつ、関係を持ったのであれば、その社長の妻から慰謝料請求される可能性さえあります。

自分の行動の正当性を考えて行動することは、結果的に身を守ることにつながる。



■賢人のまとめ
相手が既婚者だと知りつつ、関係を結んでいたなら、妻から慰謝料を請求される可能性も。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/