選挙でトランプ支持した米医師、多くがオバマケア撤廃に「反対」

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昨年行われた米国の大統領選でドナルド・トランプ候補(当時)に投票した医師のうち、同国の「医療費負担適正化法(Affordable Care Act、ACA)」、いわゆる「オバマケア」の全面撤廃に賛成する人は37.9%にとどまることが分かった。

この結果は、米ジョンズ・ホプキンス大学医学部が実施した調査で明らかになったもの。同国の医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」が1月25日、ホームページ上に公開した。

回答した医師全体でみた場合では、ACAの撤廃を支持する人はわずか15%だった。医療や保険関連の有力な調査機関、カイザー・ファミリー財団の調査では、撤廃支持の国民は26%とされているが、それに比べてかなりの少数となっている。また、同大学の調査に参加した民主党支持の医師のうち、撤廃に賛成した人はいなかった。

トランプと議会共和党は明確な代替案を示すことなくACAの撤廃を明言しているが、医療の最前線にいる人たちの懸念が明らかになったことは、撤廃は分別ある決断といえるのかという疑問を生じさせている。

ACAの恩恵はある

ジョンズ・ホプキンス大学の調査に回答した医師の半数近くは、ACAの施行によって実現した選択的な低所得者向け公的医療保険制度「メディケイド(Medicaid)」の拡大は、今後も維持すべきだとしている。

これまでにメディケイドの対象枠を拡大したのは32州とコロンビア特別区(ワシントンD.C.)。1月23日に発表された別の調査結果によれば、医療保険に加入できない国民は依然として多いものの、一部の主要地域ではACAによって保険加入率は上昇している。ハーバード大学医学部の調査でも、定期的に検査を受ける慢性疾患の患者数が増加していることが分かっている。

また、ACAは持病がある人の保険加入を拒否することを禁止しているが、ジョンズ・ホプキンスの調査に回答した医師の95%以上はこれについて、今後も断固として維持すべきだと主張している。一方、半数以下にとどまるものの、ACAが保険加入者を増やすために定めている未加入者への追徴課税は必ずしも効果がないとして、この規則には反対だと答えた医師もいた。

今回の調査は、昨年12月から今年1月にかけて実施されたもので、一般開業医426人から回答を得た。実施した研究者らも認めているとおり小規模な調査ではあるが、ACA撤廃に向けて突っ走るトランプの態度に疑問を投げかけるには十分な数だといるだろう。

連邦議会上院ではすでに、複数の共和党議員によるオバマケア全面撤廃に向けた法案が提出されている。また、トランプが厚生長官に指名した共和党下院議員のトム・プライスは米国医師会雑誌(JAMA)に対し、「(ACAは)医療の提供を非常に困難にした」とコメントしている。