「米国第一主義」を掲げ保護主義的な傾向が強いトランプ米政権が発足した。こうした世界的な風潮の中で、日本は反保護主義の旗手としての役割が求められている。企業もこれまでの国内中心、業界中心の視点から大きく経営の視点を転換すべきである。

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「米国第一主義」を掲げ保護主義的な傾向が強いトランプ米政権が発足した。こうした世界的な風潮の中で、日本は反保護主義の旗手としての役割が求められている。企業もこれまでの国内中心、業界中心の視点から大きく経営の視点を転換し、グローバルなメガコンペティション時代に向け、これまでの日本的経営慣行を打ち破り、新たなパラダイム変換に対応していかなければならない。

すなわち、経営システムをグローバルスタンダートに向け、大きく転換していくことが求められている。

そのためには、投資家をはじめ企業を取り巻くあらゆるステークホルダー(利害関係者)が、企業を正しく評価し、資本市場をはじめ、労働市場、消費者市場が有効に機能するよう、自らの企業使命の明確化とその透成のためのコーポレートーガバナンス(企業統治)原則を策定・公開し、世界市場にアピールしていくことが重要である。

その改革の要点は以下の三点である。
第一は、企業は自らの使命を再確認し、今後の事業の中核となるコアコンピタンスを再確立するとともに、それに向けて分権化、分社化、M&A(企業の合併・買収)などあらゆる戦略・手法を駆使して自らの企業構透の再構築を推進することである。

第二は、経営の意志決定システムの効率化とスピード化である。
今や半年で急激に状況が変わると言われる時代にあって、企業は即断即決、臨機応変に変化に対応することが求められる。

そのためには経営の意志決定システムの効率化とスピード化を図ることである。その対応策としては執行役員の分離や取締役会、監査役会の強化と経営からの独立性の確立が求められる。その一環として取締役会メンバーの削減や社外取締役あるいは社外からのアドバイザリー・ボードの導入などが既に始まっている。

第三は、企業の透明性と情報公開の向上である。企業は、市場で正しく評価してもらうため、株主へのアカウンタビリティー(説明責任)と、国際会計基準などに準拠した情報開示や、IR(投資家向け広報)活動の充実、さらに一般向け情報公開としてのディスクロージャーの充実を図るべきである。

要は、国際市場の中で、企業として自らの企業使命とその実現のためのコーポレートーガバナンス原則を明確化し、経営トップから社員まで共有化するとともに、その情報を市場や社会にアピールし、ヒトーモノーカネ・技術・情報などあらゆる資源調達とその効率的な運用を促透し、経営のパフォーマンスを向上していくこと、それが今後の企業改革のポイントであると言えよう。

保護主義が蔓延すれば、やがて世界経済は行き詰まり、日本も打撃を受ける。資源に乏しい貿易投資立国・日本の政府と日本企業は率先して「グローバリズム」の灯を高く掲げるべきであろう。

■立石信雄(たていし・のぶお)
1936年大阪府生まれ。1959年同志社大学卒業後、立石電機販売に入社。1962年米国コロンビア大学大学院に留学。1965年立石電機(現オムロン)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。日本経団連・国際労働委員会委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)「The Taylor Key Award」受賞。同志社大学名誉文化博士。中国・南開大学、中山大学、復旦大学、上海交通大学各顧問教授、北京大学日本研究センター、華南大学日本研究所各顧問。中国の20以上の国家重点大学で講演している。