撮影=荒木勇人

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覆面ボーカルグループ・GReeeeNの大ヒット曲『キセキ』誕生までの軌跡を描く青春ストーリー『キセキ ―あの日のソビト―』で、GReeeeNのメンバーのひとり、ナビを演じる俳優・横浜流星。長期間にわたるボイスレッスンと、菅田将暉をはじめとする同世代の共演者たちとの強い信頼関係とで作り上げた本物の“空気”と“熱量”について、映画の主軸となる“夢を追いかけること”について――。自分自身の青春の日々とともに、撮影の日々を振り返る。

撮影=荒木勇人

■ 「ライブシーンではメガネが曇って焦りました」

――GReeeeNの『キセキ』ができるまでの物語で、GReeeeNのメンバー・ナビを演じる。プレッシャーは大きかったのではないでしょうか?

そうですね。GReeeeNのメンバーを演じられることはとても光栄であると同時に、ファンのみなさんそれぞれがGReeeeNに対して想いを持っていると思うと、プレッシャーは大きかったです。僕自身もGReeeeNの大ファンですから、そのファンのみなさんの気持ちはわかります。わかるからこそ、責任を持って演じようと思いました。

――GReeeeNの音楽との出会いはいつ頃だったのでしょうか。

中学生の頃、『ROOKIES』というドラマで主題歌の『キセキ』を聴き、GReeeeNを知りました。その後すぐ『塩、コショウ』というアルバムを買ったんです。実は僕が初めて自分でお金を出したCDがそれで。どの曲もイイんですが、特に印象深いのは『父母唄』。“父よ母よただありがとう”とか、“ウザイとか言って格好ばかりつけてた”という歌詞があって、それが当時反抗期だった僕にとっては自分のことのようでグサッときましたね。GReeeeNの音楽の魅力って、一番はこういうところなんだと思います。真っ直ぐな言葉だからこそ真っ直ぐに心に響いてくるんだろうなと。

――その言葉を体現するのが劇中にライブシーンですね。まさに“心に響く”パフォーマンスで。

ありがとうございます! 今回のナビを演じるにあたって撮影前に2カ月かけてボイストレーニングをしたんです。まず声が出るようになるストレッチをして発声練習、それから今回の映画で披露する3曲をしっかり歌い込んでいくんです。それを録音しておいて、帰る前に必ず聴き返すんですよ。だから上達具合が、ちゃんとその日のうちにわかる。サボったらすぐにバレますから(笑)、毎回必死でした。

――撮影時には、多くのエキストラの協力もあったとか。オーディエンスを目の前にしてのライブはいかがでしたか?

緊張はしましたが、それ以上に楽しかったです。たくさんの方の熱気が現場全体に溢れている感じで。ちょっとだけ困ったのが、僕が演じたナビはメガネをかけているという設定なんですが、その熱気でメガネが曇ってしまったんです。視界が白くなった時には一瞬焦りました(笑)。テイクは10回くらい重ねたのかな…。OKが出た時はもうみんな汗だくで、やり切った達成感で一杯でした。

――音楽面以外の部分ではいかがでしょう。ナビを演じるにあたって大切にしたことは?

まず、菅田(将暉)さん演じるヒデとの関係性を大切にしました。大学に入って結成したグリーンボーイズのメンバーの中では一番古い付き合いで、予備校時代からヒデと友だちという設定なんです。だから、演技している時はいつも“ヒデに寄り添う”ことを心掛けていて。あと、時には一歩引いたところからメンバーを見ているような感じも出していこうと。もうひとつ、“この人といるとなんか安心しちゃう”というキャラクターに見えるようにしたいなとも思っていました。

■ 「反抗期に殴り合いのケンカをしたこともあった」

――4人が醸し出す親密な空気が心地良かったです。どうやってあの空気を作り上げたのでしょうか?

大きかったのは、クランクインの前からいい時間を持てたことだと思います。ホン読みの時に菅田さんがギターを持ってきていて、菅田さんの演奏で4人でGReeeeNの『声』を歌ってみたんです。それがすごく楽しくて、“いいな”と素直に思えました。あと、ホン読み後に助監督さんに連れられてみんなで行ったカラオケも楽しくて。そういうふうに4人でワイワイやっているうちに、自然と空気ができあがっていったという感じです。とにかく、4人でいる時は楽しかったですね。もしも僕自身が大学に入っていたらこんな感じだったのかな、と。作品を通じて大学生活を疑似体験させてもらったみたいで、忘れられない経験になりました。

――最後に本作のテーマについて。“やりたいことと求められること”の間で葛藤する青年の姿が描かれますが、俳優として頑張る横浜さん自身、共感する姿なのではないでしょうか。

それは本当にそうです。この映画の中でヒデは音楽をやることを父親に反対されますが、僕も実はこの仕事をすることを最初は父に反対されていたんです。いろいろと心配してくれていたんだと思います。多くを語らず背中で語るという人で、父の気持ちがわからず、反抗期の頃には殴り合いのケンカをしたりもしました。でも、今となっては厳しさの中に愛のある人ということもわかっています。今の僕にとっては、父は男としての理想像です。この仕事って、本当に周囲の人たちの支えなしにはできないものだと思っていて。完成した映画を観た時、一番印象に残ったのは迷いながらも仲間や兄弟に支えられて前に進んでいくヒデの姿でした。その姿に僕も改めて頑張っていこうと勇気をもらいました。きっとこんなふうに思ってくれる人がたくさんいるだろうな、と。夢を追いかけている人たちの背中を押せる作品になっていればと思います。