すでにある米墨国境の「壁」 photo by Wonderlane via flickr(CC BY 2.0)

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 トランプ大統領は1月25日、選挙公約の一つメキシコとの国境に壁を建設する大統領令に署名した。米国とメキシコの国境3200厖召蠅吠匹魴設して不法移民の米国への入国を防ぐというものである。凡そ1100厖召蠅諒匹牢に存在している。残り2000劼諒匹魴設するとした大統領令である。

 その建設費用は140億〜200億ドル(1兆6000億円〜2兆3000億円)と概算されているが、250億ドル(2兆8000億円)という予測もある。(参照:「El Pais」、「Magnet」)

 トランプ大統領はこの費用を先に米国が議会の承認を得て負担するが、その後、いずれかの方法にてメキシコ政府が「100%」その費用を負担するものだと断言している。

 それに対して、メキシコのペーニャ・ニエト大統領は「数年前から存在する(壁によって)両国が結びつくのではなく、分断させられている壁の建設の継続を米国が決定したことに対し、我々は遺憾に感じ、またそれに賛同しない。メキシコは壁の存在(意義)を見出せないのである。それを何度も繰り返し主張して来た。メキシコはどのような壁に対しても支払うことはしない」とトランプが大統領令に署名してから即座に公言した。(参照:「Sin Embargo」)

◆驚愕のトランプ式壁費用徴収策

 メキシコがこの費用を負担しない場合に、トランプ大統領が考えていると言われているのが以下のような費用徴収手段であると言われている。(参照:BBC)

●米国のメキシコ移民が本国に送金するお金を差し押さえる。
●メキシコ人の査証取得費用を値上げする。
●国境を通行出来る為の通行券の値上げ。この通行券を使って一旦米国に入国したあと、不法に米国に在留する者が多くいるとトランプ大統領は見ているという。

 米国が壁の建設費用の補填にこの3つの手段のどれかを充てるのではないかとメキシコ政府は懸念している。

 その中でも一番問題になるのが移民による本国への送金を米国政府が押収することである。それを恐れて、トランプが大統領に成るのではないかという可能性が出て来た昨年からこの送金が急増しているのである。昨年11月の時点でその前年同月比で25%増加しているのである。

 毎年の送金総額はおよそ25億ドル(2800億円)近くもある。これは、メキシコの自動車と原油の輸出そして移民の送金とでメキシコの外貨獲得の3本柱を構成するまでになっている。勿論、その送金の目的はメキシコに残した家族の生活費に充てる資金といったようなものである。

◆メキシコの対抗策は?

 仮に、米国が壁の建設費用の負担にそのような手段を講じるようになるのであれば、メキシコ政府は米国からの輸入品に関税を設ける構えである。

 メキシコ政府は米国が今回の壁の建設をメキシコに相談もなく一方的に決め、しかも、その費用をメキシコが負担するというメキシコにとって屈辱ともとれる姿勢を米国が維持している限り、メキシコ政府は現行の北米自由貿易協定(NAFTA)から撤退する用意があるとしている。実際に、米国とカナダは既にメキシコを無視して二国間の貿易交渉を進めているという。勿論、カナダはメキシコとも二国間の貿易取引という形での交渉をする用意があるとメキシコ政府に伝えられている。即ち、現状の流れからはNAFTAは解消される方向に向かっているということである。

 また、メキシコ政府は麻薬が米国に密輸されていることにも、今後はその取り締まりに米国と協力しないという姿勢も取ることが出来るとしている。その場合には、米国が麻薬の撲滅にメキシコ政府に提供してきた支援金が消滅することになるであろう。

◆NAFTAはメキシコにとっても弊害があった

 トランプ大統領はNAFTAはメキシコを一方的に有利にし、米国にとって非常にみすぼらしい協定であると批判している。