昨年末に10万円の大台を突破したビットコインの相場は、年明けの1月5日には15万円と最高値を更新した

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 2014年、世界最大級の取引所・マウントゴックス社が破綻し、日本では「怪しい」イメージがついてしまった仮想通貨・ビットコイン。

 だが、ここのところ再び注目が集まり、相場は活況を呈している。利用できる店舗も前年比4.6倍の約4200店にまで急増しているが、果たして、ビットコインは信頼を取り戻し“復活”を遂げたと考えていいのか。『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』(講談社)の共著者で、ネットワークや最先端技術に精通するジャーナリストの西田宗千佳氏はこう説明する。

「ビットコイン自体は複製が極めて難しく、仮想通貨の安全性は高かったものの、マウントゴックス社の管理体制があまりにも杜撰で、顧客から集めたビットコインが盗まれ消えてしまったため騒動になってしまった。つまり、通貨は偽造されなかったが、銀行の経営が杜撰で破綻したようなものなのです。ビットコインの高度な暗号化技術が破られたわけではなく、安全性は当時と変わっていません」

 昨年5月には、利用者保護のため改正資金決済法が成立。仮想通貨を現実の通貨と交換する取引所は登録制となり、日本政府がビットコインを支払い手段として公に認めた格好だ。

 これが追い風となったのか2014年に5万円を割り込んだビットコインの相場は2016年末には10万円の大台を突破。年明けの今年1月5日には、15万円と最高値を更新する急騰を見せた。

 背景には、アメリカ大統領選後から続くドル高・人民元安があり、元安による資産の目減りを防ぐため、多くの中国人富裕層がビットコインに資金を移動したためと見られる。

「当然のことながら、ビットコインの価値、つまり換金レートは市場が決めています。要するに、ビットコインを持ちたい人が増えれば、価値は上がるということ。中国の富裕層にすれば、資産を人民元で持つよりも、ビットコインなら課税を逃れられるし、海外への移転も簡単なので、投機的、ヘッジ的な思惑から資金がビットコインに集まったのです。一方で、ビットコインはこれを管理する主体はないものの、取引所は国家の監視対象になっており、特に中国の場合、当局が換金所に踏み込む懸念が少なからずありました。換金が停止されたり、ビットコインの価値が毀損されたりする可能性があり、これが中国市場でのビットコインの乱高下を招いたのです」(西田氏)

◆リスクヘッジとして注目されるビットコイン

 1月5日夜、ビットコインは急落し11万円を割り込んだ後、まさに乱高下を繰り返し、現在は10万2000円付近に落ち着いている。実質的に共産党による独裁制が敷かれ、外貨の規制が厳しい中国ならではのリスクが要因と見られているが、西田氏は「決して中国特有のリスクだけが要因ではない」と分析する。

「先進国であっても経済政策の失敗によって自国通貨から資金が逃避することはありますし、こうしたリスクをヘッジするためにビットコインを持つ人が少なくないということです。つまり、どの国家にも管理されていないビットコインの長所が、再び注目を集めているのでしょう」

 各国が通貨安競争にしのぎを削る世界に目を向ければ、ビットコインの評価はさらに上がりその未来は明るいように映る。

「ビットコインとは、誰かが管理する必要のない仮想通貨です。価値を担保する人もいなければ、損失を補填する人もいません。ドルや円など、通常の通貨は各国の中央銀行が発行しているが、ビットコインには発行主体すらない。だが、我われが日々使っている通貨は、価値が担保されている、と言えるでしょうか?一方、ビットコインは、たとえ国が潰れようとも存在し続けます。先進国においても、国家間で資金を移動する際は手数料がもったいないので、ビットコインのようなシステムを銀行が独自につくれば、コストの削減という別のメリットがもたらされる」(西田氏)