てへぺろ初土俵入り!新横綱・稀勢の里が文字通り「稀なる勢い」を見せ、優勝からわずか6日で立派な横綱となった件。
初優勝から6日しか経ってないのに、もう横綱!

ちょっと戸惑うような気持ちです。この一週間、世間は横綱・稀勢の里の誕生にわきました。今まで別に稀勢の里がどうしようがまったく世の中に反応などなかったものが、誰もかれもが稀勢の里を祝い、稀勢の里の横綱昇進を喜んでいました。こんなにも横綱というのは誉れ高いことだったのか。稀勢の里が特別に愛されている力士であることを踏まえてなお、相撲というものが日本に占める特別大きな意味合いというものに改めて驚かされます。

伝達式での口上。綱打ちのにぎわい。推挙状を受け取っての明治神宮での奉納土俵入り。多少のミスはあるものの、どれもこれもが立派の一言。さすが30歳を迎えるまで悩み、苦しみ、もがいてきた力士です。単にデブのおしくらまんじゅうが強いというだけではない、相撲を背負う者としての意識も感じられる振る舞いは、「あぁ、立派な横綱をお迎えしたな」と誇らしくなりました。

世間にはいろいろと心配の声もあるようですが、土俵の上での横綱・稀勢の里に対して、僕は何の不安もありません。強さは申し分なく横綱級ですし、心の弱さという不安もひとつ殻を破りました。身体は丈夫で、怪我をしにくい前への突き押し相撲というのも長く横綱をつとめる素養です。とかく面倒なジジイどもからの揚げ足取りの定番でもある「ダメ押し」「変化」「休場」といったあたりと一切無縁であるのも素晴らしい。土俵上での「横綱相撲」には何の心配もありません。

そして、土俵外で求められる「横綱」としての振る舞いも、きっと大丈夫。シンプルな言葉ながら、師匠の先代・鳴戸親方の口上の言葉と、師匠の師匠にあたる若乃花(初代/ちゃんこダイニングではない)の口上の言葉を盛り込んだ伝達式の口上などは、まさに相撲の系譜、土俵の血脈を受け継いでいくのだという姿勢が鮮明に表れていました。

奉納土俵入りの三つ揃いの化粧まわしは、土俵の鬼・若乃花(初代/ちゃんこダイニングではない)のものだそうですが、若乃花は栃若時代とうたわれた横綱であり、隆の里らを育てた名伯楽であり、かつ理事長としても相撲を牽引した人物。「大横綱、名伯楽、理事長」の期待を全部しっかりと受け止めて見せようという、無言の意志を感じずにはいられない。

あまりにとんとん拍子でことが運び、そのなかで稀勢の里が威風堂々としているものですから、何だか全部がウソのようです。ついこの間まで、何故何故何故何故と思い通りにいかない運命に文句ばかり言っていたのに、急に横綱の振る舞いを見せられても心がついていかない。まぁとにかく、これまで裏切ってきたぶんまでまとめて取り戻すかのように満点で期待に応える稀勢の里が本当に立派で、ニセモノか替え玉でも見ているような気持ちです。

↓四字熟語を期待するメディアを無視して、より深みのある口上で受けた伝達式!

四字熟語は貴乃花だから「らしい」んだよな!

貴乃花の「何でも小難しく言っちゃう融通利かなそうな人物像」にこそよく似合う!

伝統でも何でもないし、マネする必要もない!

ちょっとかんじゃったけどOKです!

↓鶴竜のときにとっくに四字熟語ブームは途切れたと思っていたら、まだ継続中だったんですって!

「一生懸命」が四字熟語だから、ですって!

わかった、もう「日馬富士」とか「千代翔馬」とかも四字熟語扱いでいい!

今後は漢字四文字の連続を一切禁止だ!

↓一門大集合での綱打ちも見栄えだけでおめでたい感じ!

琴奨菊も参加してくれて、みんなでお祝い!

「大量の麻を半裸の男たちがいろいろいじくっている」「ヘンな歌が聴こえる」「ヒーヒー言ってる」と聞くとすごく危なそうですが、喜びの作業です!

伝統なんで、麻だろうが半裸だろうが、大丈夫です!

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そして迎えた27日の土俵入り。雲龍型に憧れがあったと語る稀勢の里は、一門の先輩横綱・大乃国の芝田山親方から雲龍型の指導を受け、初の土俵入りにのぞみます。明治神宮には1万8000人もの人が集い、入場制限までかかったとのこと。テレビは生中継で神宮の様子を映し、サラリーマンは仕事をさぼってトイレでこの動向を見守る。確かに、真冬に屋外で半裸のデブが珍しいダンスをすれば人目を引くのかもしれませんが、それを割り引いてもすごい盛り上がりです。

↓テレビが生中継する異例の盛り上がりのなか、新横綱・稀勢の里は見事な土俵入りを初披露!


横綱:「間違えないように…」
太刀持ち:「しっかり…」
露払い:「寒い…」
太刀持ち:「俺も寒い…」
露払い:「そっちは片手手袋ありますやん…」
太刀持ち:「全然変わらんって…」
露払い:「ワシも手袋ほしい…」
太刀持ち:「全然変わらんって…」
横綱:「あ、間違えた」
露払い:「もう何でもいいから早く終わって…」
太刀持ち:「意外に重い…」

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口上につづいて、ちょっと間違えたというか、やろうとしていたことと違う場面が実は土俵入りでもありました。立ちあがって四股を踏む際、右手側⇒右手側⇒左手側と3回四股を踏むわけですが、3回目の四股の際は、「立ち上がって左足を右足に引きつけつつ、すぐに右手を上げて構え、流れを止めずに左手側の四股に進む」のがおなじみの雲龍型の所作。

しかし、稀勢の里は一回中央で右手を上げて立ちあがってしまい、そこから足を引きつけたものですから、何が何やらわからなくなってしまい、左手を上げる余計な動きをしてしまいました。本人も一瞬アッとなったのか、動きにも淀みが生まれています。そこは「てへぺろ」の部分だったことは確かです。

ただ、そもそも横綱土俵入りの正しい所作などあってないようなもの。雲龍が本当はどんな動きで土俵入りしていたか、不知火がどんな動きで土俵入りしていたかは、実際問題よくわからないのです。よく「雲龍は攻防兼備で、不知火は攻め一辺倒」みたいな話も聞きますが、それも本当なんだかウソなんだかよくわからないのです。

だから、細かい部分は自由でいいし、これから自分なりの型を見つけていけばいいのです。白鵬は大鵬の独特な四股をまねていたり、日馬富士は離陸する飛行機のような低い姿勢からのせり上がりを見せますが、大枠さえ合っていれば、むしろ個性的な動きがあったほうが面白いというもの。今はまだ手本をなぞるので精一杯という段階でしょうが、「稀勢の里らしさ」というものが表れるような動きを、これから煮詰めていってほしい。

相撲取りがやることには何でも謂れがあるみたいな気がしますが、「懸賞金を受け取るときは右手で手刀」とか「土俵は踏まない」とか、理由なく生まれて理由なく広まっている謎の決まりごとも相撲にはたくさんあります。口上だって、土俵入りだって、何の決まりもないし、当代の横綱がすごくカッコイイことをやれば、それが新たな伝統となっていく、そんなものなのです。

伝統というのは受け継ぐことも大事ですが、次の世代に渡すことも大事。稀勢の里が師匠や若乃花(初代/ちゃんこダイニングではない)の口上を受け継いだように、今度は「72代・稀勢の里」の何かを次なる世代が受け継いでいく。その姿を後年見守ったときに、「稀勢の里っぽいなぁ」と感じられるようなものを、しっかり現代の土俵で表現してくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

その意味では、相撲ではもう横綱としてしっかりとしてしまうぶん、儀式部分には稀勢の里らしい「隙」を残しておくのもいいかもしれません。たとえば、毎回毎回どこかをちょこっとずつ間違える土俵入りとか。あまりに毎日少しずつ間違えるもので、しまいにはどれが本当の所作なんだかわからなくなるとか。間違えて不知火型をやっちゃうとか。やがてのちの時代に「コイツ間違えてばっかりだな」「すぐ緊張してテンパる」「お前は稀勢の里か!」と思い出せるようなものを、期待しています。

とりあえず僕も生で見られるよう、二場所は横綱をつとめてください!