韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する「少女像」が設置された問題の解決が長期化している。韓国政府は当事者能力に欠け、駐韓大使の一時帰国などの対抗措置を打ち出した日本政府も大使らの帰任を当面見送る方針だ。写真は韓国の日本大使館。

写真拡大

2017年1月27日、韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する「少女像」が設置されたことに抗議して、日本政府が駐韓大使の一時帰国などの対抗措置を打ち出してから3週間。韓国政府は状況を打開する当事者能力を事実上、失っている。日本政府は大使らの帰任を当面見送る方針で、事態は長期化する一方だ。

今月6日に日本政府が発表した一連の対抗措置を受けて、長嶺安政駐韓大使と森本康敬釜山総領事が帰国したのは9日。日本政府は05年に竹島(韓国名・独島)の領有権をめぐり、日韓両国が対立した際と、12年に当時の李明博大統領が大統領として初めて竹島に上陸した際の2回、駐韓大使を一時帰国させたが、いずれも12日後には帰任。日本の大使の不在期間は最長を更新中だ。

釜山の少女像について、韓国の尹炳世外相は大使らの離韓後、国会で「国際社会では外交公館前に施設物や造形物を設置することは国際関係の側面から望ましくないというのが一般的な立場」との認識を表明。「誤解があるようだが、(韓国)政府は少女像設置に反対しているわけではない」とした上で、「場所の問題についてはわれわれが知恵を集める必要がある」と述べた。

黄教安大統領権限代行首相も23日、「基本的に民間で行っていることで、政府が関与するのは難しい状況」と前置き。「重要な関心事であるので政府も注視している。さまざまなルートで、さまざまなチャンネルを通じて協議を進めている。時間がかかるだろうが、必ず克服できるように努力したい」と語るのが精いっぱいだった。

しかし、国政介入事件で朴槿恵大統領が憲法裁判所に弾劾訴追されて職務停止となり、トップ不在の韓国政府が主要な問題で当事者能力を失っている。釜山の少女像に関しても、外交部報道官は昨年末、設置計画が明らかになった際、「自治体が判断する問題」と述べるなど設置を事実上、黙認した。げたを預けられた釜山市東区は法律違反を理由にいったん像を撤去したものの、世論の猛反発に遭い、一転して設置を認めた。

これに対し、日本政府は韓国政府が釜山の少女像撤去に取り組まないのは15年末の慰安婦問題に関する日韓合意に反すると主張。安倍晋三首相や岸田文雄外相らが対応を協議しているが、「韓国側の姿勢に変化はなく、日本側が現時点で動く必要はない」との立場を堅持している。国内にも対抗措置への表だった異論は、ほとんどない。

日韓両国が対立すると仲介役を務める米国も、トランプ新政権の発足直後で目立った動きがないまま。韓国内では次期大統領選の有力候補がこぞって日韓合意の見直しに言及しており、こうした中で、韓国政府が少女像撤去に向けたアクションを起こす可能性は皆無に近い。事態打開の見通しは全く立たず、いたずらに時間だけが経過している。(編集/日向)