骨折した母犬が必死の助けを求めて(出典:http://metro.co.uk)

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細身で足が長いグレイハウンド犬は俊足に獲物を捕らえる優秀な狩猟犬として知られており、古くから狩猟文化のあるスペインではグレイハウンドを使った猟が現在でも許可されている。ところが狩りのシーズンが終わると、無残にも捨てられてしまうグレイハウンドがあとを絶たないそうだ。このほど、恐らくそれが原因で捨てられた1頭のグレイハウンドが、母犬としての執念を発揮し人間に救いを求めた。

英紙『Metro』が伝えたところによると、スペイン南部のマーケット近くをうろついていた1頭のグレイハウンドが、リアン・パウエルさんにより発見された。かなり衰弱し右前足を骨折していたようにも見られたため、リアンさんは地元の獣医のところへ連れて行った。

『Clinivet Turre(トゥレ獣医院)』の獣医師エレン・ソブリーさんは、後にVera(ヴェラ)と名付けられたその犬から母乳が出ることがわかり最近出産したことに気付いた。そこでエレンさんは、リアンさんと共に仔犬の行方を探そうと試みた。しかし、なかなか仔犬は見つからない。エレンさんとリアンさんが途方に暮れていると、ヴェラが2人を案内するかのように歩き出したのだ。

先導するヴェラについて3km以上もの距離を歩いて見つけたのは、1台の廃車だった。ヴェラは迷うことなくそこへ入り込み、リアンさんとエレンさんは後部座席にいる生まれたばかりと見られる10匹の仔犬を目にした。ヴェラは仔犬たちにこれまで母乳をちゃんと与えていたのであろう、10匹とも健康そうだったようでリアンさんとエレンさんを安心させた。

「仔犬を目にした時は信じられませんでした。ヴェラは私たちと会って1時間ほどしか経っていないのに、私たちを信頼してここに連れて来たのです。このまま仔犬たちが発見されなければきっと飢えていたことでしょう」と話し、ヴェラは恐らく狩猟時期が終わったために、出産間近の状態でありながらも無残に捨てられたのではとエレンさんは推測している。

「車に撥ねられたのか誰かに傷つけられたのか、ヴェラの足の骨折の原因はわかりませんが、最近は野良犬になっているグレイハウンドを毎日よく見かけます。酷いものですよ」とエレンさんたちが言うほど、スペインではグレイハウンドに対する狩猟後の虐待が多く、問題となっているようだ。

現在、ヴェラと10匹の仔犬たちはエレンさんのクリニックで保護されており、怪我の回復を見てムルシアにある非営利団体「Ibizan Hound Rescue」の協力のもと、新しい飼い主を探す予定だという。

出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)