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By Serge Saint

2018年に韓国で開催予定の平昌冬季オリンピックでは、チェスがオリンピックの公開競技として認可されており、正式競技ではないものの実施される予定です。オリンピックに競技として参加する限り、チェスのプレイヤーには他の競技と同様にドーピング検査が実施されるのですが、ある実験で興奮剤にチェスにおける認識能力を強化するような効果があることがわかりました。

Methylphenidate, modafinil, and caffeine for cognitive enhancement in chess: A double-blind, randomised controlled trial - European Neuropsychopharmacology

http://www.europeanneuropsychopharmacology.com/article/S0924-977X(17)30019-6/abstract

Special Report: New Study Finds Performance-Enhancing Drugs for Chess | World Chess | News, ratings, events in a chess world

https://worldchess.com/2017/01/25/special-report-new-study-finds-performance-enhancing-drugs-for-chess/

ドイツの複数の大学、およびストックホルム大学の合同研究チームは、健常者の認識能力を強化する効果が認められている興奮剤のメチルフェニデートモダフィニルカフェインが、チェスのプレイヤーのパフォーマンスを向上させるのかどうかを実験で調査しました。実験に参加したクラウス・リエブ博士は「チェスにたけていて高い認識能力を持つトッププレイヤーが、興奮剤でパフォーマンスを強化することが可能なのかどうかに興味があった」と話しています。



By The U.S. Army

実験は、39人の参加者1人1人に興奮剤のメチルフェニデート、モダフィニル、カフェイン、プラシーボのどれかを与えるというもの。被験者は興奮剤を服用した後に、コンピューターを相手にした15分の試合を20回行い、その後に神経心理学のテストを受験しました。実験では、合計3059回のチェスの試合が行われたとのことです。

試合から得たデータを分析すると、メチルフェニデート・モダフィニル・カフェインのいずれかを摂取したプレイヤーは、プラシーボを服用したプレイヤーよりも自分の手を長く考える傾向があり、時には持ち時間をオーバーしてしまうことが確認されました。言い換えると、プレイヤーは熟考するあまり通常よりもプレイが遅くなっていたというわけです。



By Aurimas

また、実験で行われた全ての試合から持ち時間オーバーによる負け試合を取り除いた2876試合で、メチルフェニデートやモダフィニルを摂取したプレイヤーは、プラシーボを摂取したプレイヤーよりも高いスコアを記録。研究チームは、これらの結果と神経心理学のテストを統合し「興奮剤が、時間単位での思考の質や意思決定能力を向上させる可能性は低いことがわかりました。しかし、意思決定に長い時間をかけられる場合においては、興奮剤がパフォーマンスを強化すると考えられる」と結論づけています。

リエブ博士は興奮剤がチェスにおける能力を強化するかどうかはさらなる実験が必要としながらも、「チェスの競技大会では強いドーピング管理が必要になる」と話しています。